アイスが天使になりました。

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マリンの娘で先月15歳を迎えたばかりのアイスが29日午後9時過ぎ、天使になりました。

アイスは産まれてすぐに生死をさまよい、助かったものの不安で我が家の子として残した子です。先代マリンの娘の中でブルーマールで両目がブルーの子はこの子だけでした。思いのほか大きく育ち当時楽しんでいたショーの夢は断念。穏やかで利発な彼女にはマリンから受け継いだ人の話をよく理解する賢い頭脳が備わっていました。マリンを育てた時のように何ら苦労することもなく毎日の言葉の掛け合いで十分すぎる成果を見せる子だったのでいつかは子孫をと望んだ子です。

アイスが大人になってしばらくしたころ、アイスの子供を熱心に望んでくださる方が数人いました。なかなか出産まで至らないとお断りが続く中、とても熱心でずっと待っていると言ってくださったのが我が家からクッキーをお嫁にしてくれたクッキー家のご夫婦でした。希望に沿いたくてもアイスはなかなか出産まで至らず、何年待たせるのかわからない状況でした。
当時クッキーの訓練を通して非常に親密になっていたこともあり、もし良かったらアイス自身を主嫁にもらってくれないかと相談し、一つの約束をしていただきアイスをお嫁に出すことにしました。

アイスは犬として十分なものを備えて、クッキー家に嫁ぎ、少々可愛がられ過ぎてやんちゃだったクッキーの良き指導者として暮らしました。
それ以上に、犬との暮らしが初めてだったクッキー家に、「犬」を教えてくれたようにも思います。

アイスを通してクッキー家と我が家は普通のオーナーさんたちよりもずっと親密なお付き合いをするようになりました。そこにアイスの存在がどれほど大きなものだったのかと今も感謝の気持ちでいっぱいになります。

月日が流れ、アイスが母になる日がやってきました。アイスの大きくなったお腹に聴診器を当てて、「ほらココに赤ちゃんがいるんだよ、元気に心臓が動いている音が聞こえるでしょ?」とクッキーママに聞かせてあげたあの日を思い出しています。アイスは素晴らしい子を7頭も産んでくれました。うちにその血統を残さなかったことがとても悔やまれますが、2004年生まれの子供たちは皆大事にされています。でも12歳の年を迎え、すでに天使になった子もいます…。

犬は2頭までと思っていた彼らがその音を聞いた時から、アイスの子と暮らしたいと決心したとは思いも寄らず…。2014年9月5日、アイスは7頭の子を出産し、そのうちのココアがクッキー家の3番目の娘として嫁ぎました。

クッキー・アイス・ココアの三姉妹との逸話は数えきれないほどあります。笑いあり、涙あり、楽しかった思い出、辛かった思い出・・・。我が家の恒例のキャンプに度々立ち寄ってくれ、24時間かけて、我が家の犬たちに対する接触の仕方などなど観察して、「なるほど~勉強になりました!」とかえって行き、それを次の年には我が家のほうが舌を巻くほどの結果にして見せてくれたことはご夫婦の犬たちに対する愛の深さを感じずにはいられませんでした。
そして、三姉妹の為にお二人が頑張ってお宅を新築され、新築祝いに駆け付けた時、三姉妹の幸せに満ちた顔を忘れません。

長い長い年月が過ぎるとき、ブリーダーと飼い主との間に親密な関係が続いてることは非常に稀な事でしょう。親しかった彼らとも、それぞれの忙しさから1年に一度会えるかどうかという関係に変わっていました。

年月が流れ、犬たちの体にも変化が起きます。調子が悪いけれど病院行くべきか?という相談よりも先に、「病院でこういう病気だと言われました」とか「亡くなりました」との報告が、嫁がせて10年くらいからポツリポツリと届くようになります。突然倒れたとか、病気の兆候の知らせが届くこともあります。。。

問題なく年を取っていく子たちのうちの1頭だったアイスは、親しい分、少しの変化についても何度か相談がありました。それも大したことがないままで、だんだんと連絡は途絶えがちになっていましたが、それはクッキーの死によって再開し、また密に連絡を取り始めた頃でした。

今年の初め、アイスは年齢を考えて避けていた手術を受けることになりました。手術をしなければ死んでしまうのを待つだけなら、危険を冒してもやる価値があると判断したからでした。何度かそのことについて相談を受け自分なりのアドバイスをしつつ。。。
術後急激な回復を見せたアイスが数日で体調を崩したと連絡がありました。

我が家では今年になってすでに25頭を見送っている経験があり、術後についても多少なりともの知識が有ります。アイスの症状はすでに経験済みのもので、時間が遅ければ手遅れになるものでした。
緊急に病院へ行ってもらい、検査の種類を知らせ、獣医さんに知らせてもらい、適切な処置をしてもらえたので事なきを得ました。

今思えば、あの日からの7月29日までの半年強の時間、アイスがご夫婦との別れが来るまでのご褒美だったかもしれないと思います。

アイスはクッキーを見送って寂しくて辛い時間ご夫婦を支え、娘のココアと共に頑張ってくれたと思います。

愛犬の事で相談を受けた時、私は厳しい事も伝えなければならない立場にあります。愛犬がいつかは死んでしまうこと、それまでのできることは何か、どこまでやることが犬にとっての幸せなのか、犬が目の前にいるのに泣いてばかりは駄目だと、いなくなる前からその時の事ばかり考えていたら大事なものを失くしてしまう事、病気と闘っている犬を不安にさせないでほしいと・・・。

時には悲しみの共鳴を求められていることが解っていても・・・それをしてしまったら冷静な判断ができなくなることも知っているから。。。

アイスは頑張りぬいた15年とひと月を、ご夫婦と実の娘に見守られ天使になりました。

長い間アイスを娘として大切に育んでいただいたこと感謝しています。

 

アイス、そっちにはママのマリンもクッキーも君の子供たちもいるから大丈夫だよね。
アイスのパパとママが沢山泣いている・・・とっても愛されて、大事にして貰って本当に幸せだったね。私からもお礼を言っておいたよ、アイス、またいつか私の元に産まれておいで、待っているからね…。

ゆっくりお休み、またね、アイス・・・。

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