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純血種の向上を目的とするドッグショーの世界で、シェルティーではセーブルマールと言う色は、スタンダードでは認められていません。JKCの血統証には×印がつけられ、この色でまだ登録できますが、JCCでは登録は不可能で、JCCでは全てセーブルで登録されます。もしかしたらいずれJKCでもそのようになるかもしれません。
確かに繁殖者による自己申告の登録なので繁殖者がセーブルマールの認識を持っていなかったり、もっていても意図的にセーブルで登録することを考えればJCCのように認めないという方法論はわからなくもないです。セーブルで登録されたセーブルマール固体の中の一部には繁殖に使われた際にダブルマールが生まれてしまう危険が起きます。また何代続いてもマールの遺伝は優性なので、セーブルマールも生まれ続けます。血統証上で純粋のセーブル同士の交配なのに、目の青いセーブルが生まれてくることがあるという現実はこのためかもしれません。 登録を正確に行えばなんら問題はないもので、セーブルマールのシェルティーが生まれたら必ずJKCで×印が付いてもセーブルマールとして登録してほしいと思います。それが唯一トラブルや悲しい結果を生み出さない最良の方法だからです。実際は、繁殖に使わなければなおよいのかもしれませんが。。。健全性に問題があるのではないのになぁと考えさせられます。 ではなぜセーブルマールを嫌うのでしょうか?それにはちゃんとした理由があります。わかりにくい、間違えやすいというものです。セーブルはA^yという遺伝子の作用によって茶色に見える毛色ですが実はそのもとはAアグーチというルーカスに帰属しています。このルーカスは野生種のグラデーションを起こす毛色のルーカスで単色のベタなものではありません。つまり、Aがもともとグラデーションを起こした被毛に見せる遺伝子なのでここにマールの遺伝作用が起きると、スムースなら模様がはっきり判るものが毛の長さによってはっきりしなくなってくるのです。 セーブルの場合希釈遺伝子こそかかわっていませんがA^yA^tのヘテロセーブルマールが生まれてきても見た目に見える黒はAのグラデーションも関わっているために希釈される以上に減色します。つまりマールの遺伝子が作用してもまだらの模様の境が分かりにくいのです。またマールにはなぜ出てくるのか解明されていないクリプティックがあるのでこの状況が起きればブルーマールに比べてセーブルマールは、なおわかりにくくなります。 マール遺伝子が起こす現象が黒のソリッド(単色)に起きるのであれば下地はグラデーションしていない分柄がはっきり出るので見間違うことは少ないのです。純血種を固定するためにスタンダードからセーブルマールを外すという選択は多くのブリーダーたちが経験値を積んだ中から見出した究極の方法論だったのかもしれません。この理由なら個人的に納得できるのです。ならばそれを存続しなければなりません。 セーブルマールは成長していけばいくほど、マールの境が見えにくくなり全くマール斑が見えなくなることもあります。毛が長い犬種はなおさらです。シェルティーにはスムースはないのでこれが規制の理由ではないかと思われます。ポメラニアンなどでもマールの遺伝子の出現が起きていますが、シェルティーのようにブラックポメラニアン・及びトライのポメラニアンしか交配には使えないという概念がなければ長毛であるがゆえに悲しい結果が出る可能性が大きいといえます。 シェルティーのコートはダブルコートでラフといわれる種類ものものですからポメラニアンのような開立毛とは違うのですがショーで華やかなボリュームを持ったものをみると似てるなぁと感じます。開立毛といわれるポメラニアンなどの毛質のものは特にセーブルマールはセーブルに見えてしまうと危惧されており、ブルーマールでさえ作出しないように言う人もいます。。。確かにそうだと私も思います(*^_^*) AKCでは実際に、チャンピオンのセーブルマールも存在しています。何故かと言うと、セーブルに見えるセーブルマールは、セーブルに準じるとして、容認しているからです。セーブルマールでも、犬質の高い犬は認めましょうというのが、AKCの考え方のようです。 少し難しくなりますが、この場合のセーブルマールには、目の色は必ずダークな色となります。セーブルには、ブルー、もしくは、マールした目は認められていないからです。ここにもスタンダードの大きな謎が一つ隠されています。 セーブルマールは、マールという優性遺伝の遺伝子をもつ個体である以上、目の色はブルーマールに準じるべきではないかと個人的には思うのですが実際にはそういう解釈をしないと言う事でしょう。難しい部分だと思っています。 遺伝的に考えても、毛色を変える遺伝子は目の中の色も変えることはわかっているのですから、セーブルマールがマールである以上ダークな目しか認めませんというのは理論が違うように思います。他犬種では当然ですが、目の色がブルーまたはマールでも当たり前に認められています。同じ犬質の犬であれば、セーブルという毛色とセーブルマールと言う毛色では、セーブルの方が選択されるという事になります。見た目にセーブルであれば、遺伝的にマールしていても認めましょうということなのかは判りませんが、やはり難解なスタンダードの謎のひとつだと言わざるをえないでしょう。 JKCでは、血統証にセーブルマールであると×印がつけられることになりました。これはシェルティーのスタンダード(Dogショーに出せる犬の基準)で認められていない毛色の一つだからであり、今のところはダブルマールのように、常に、体に問題の起きる危険がある毛色ではない事は知っておかなければならない重要な事です。ですが個人的には×印がつくことで、危険な繁殖と同一に考えられ、セーブルマールの繁殖に対して多くの勘違いによる悪評が生まれないことを願っています。
※存在する毛色を紹介していますが、スタンダード(犬種基準)に於いて認められていない毛色の普及を推奨している訳ではありません。シェルティーはシェルティーである前に犬であり、犬として持ち合わせるであろう毛色の遺伝としての説明です。しかし命の重さはどの犬にも平等であると信じていることをお断りしておきます。。。 尚このサイトは知識を広げるためのサイトですので、もし間違ったことが掲載されていたら是非管理人までお知らせください。指摘は大歓迎ですが、匿名でのご指摘はご遠慮願います。ご指摘はメールでお願いします<m(__)m> |