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犬は本来自然の中で生きていた動物だから、産まれ落ちてすぐに母犬の乳房に吸い付けないような弱い子犬や、先天的な障害をもって誕生した子犬はたぶん自然淘汰されてきたことでしょう。
人が手をかけなければ、それが運命というものでしょうし、そのために強く次の世代に続く遺伝子だけが生き残ってきたのでしょうから・・・
野生動物は、ほとんどがみな同じような姿態で、その子孫を続けていく為に残酷にも見えるほどの自然淘汰がなされていきます。ライオンは、一つのプライドと呼ばれる群れで形成されているが多くはボスとなるオスを中心に数頭の雌とそのボスの子供たちとで形成されていますが、このボスが挑戦者が現れ群れを乗っ取られた時に、生存している前のボスの子ライオンたちは残らず噛み殺されてしまいます。


なぜなら、群れを取られた弱いオスの子孫は新しいボスにとっては無用のものだからで、のっとった群れのメスの繁殖期を早く迎えなければならないからです。新しいボスは自分の子孫を残さねばならず、そのためには雌が子育てをしていては自分の子孫を作れない為に子ライオンは殺され、雌には発情期がすぐにやってくるのです。


高等知能を持つチンパンジーですら、子殺しという穏やかではないことが行われることも知られるようになりました。健全な個体だってこうした淘汰が行われて自然の世界では強いものの子孫が生き残ってきたのです。健全でない個体は、母親に育ててもらえることもなかったろうし、また運良く子供時代を生き延びてきても、健全な兄弟たちのように子孫を続けていけるほど生き延びていくことは不可能でしょう。


リカオンなどは群れで生活し、非常に愛情深く群れと接する為に病気にかかった仲間をも介護することが知られています。このために、犬特有のジステンパーなどに感染した仲間がいる群れはほぼ全滅してしまうのです。そのなかで体力を充分に持ち、たぐい稀なる生命力の強い生き残った個体の子孫がまた繁栄を続けていくという誠に理に敵った自然の法則があります。


純血種の犬たちは、人が目的別に改良(改悪)してきた特殊な種類のもので、野生の動物とはまた違った考えで見なければならなりません。彼らに野生動物の生態やルールを持ち込むこと自体が無理があるのです。


犬という大きな種族の中にそれぞれの犬種が存在し、同じ種族の犬と言う生き物なのかと思うほど、セントバーナードからチワワまで大きさから性質から、姿態まで違うものたちばかりです。このように人が人為的に作ってきた犬たちには多くの悪い遺伝子を受け継いでいるものがたくさんあります。近親交配によって形作られてきた歴史は自然の法則にかなってはいません。でも、形を均一化していくために時間を短縮するとしたら当然のことといえるでしょう。
人の手が無いと自力で出産できない犬種や、明らかな遺伝疾患を抱えると知られている犬種でも、多くのファンシャーの努力で今日もその犬種は存続されています。


生き物本来にある子供を数多く生むことは妊娠初期に発生する奇形や疾患を抱えるもの(先天性疾患)が生まれてくる自然発生の確率を生き残る為に考慮し含めているのですが、こと遺伝に関する諸問題については多くのブリーダーが語り合うことが少ないのです。


これには一つに先天的な異常が遺伝子によるものなのか、自然発生に値するものなのかの判断が非常に難しいからだと考えられます。現在でも多くの遺伝疾患と目されるものですら、その個体がキャリアしているかどうかの判断を下せる機関は少ないのが現状です。いくつかの遺伝疾患については海外の機関で調べる事ができるものも出てきましたが、調べられるものにはまだ犬種や疾患によって限界がある状況です。


最近では、タブーとされていた情報が公開されるようになってきてもいますが、犬種によってはまったく公開されない物も多くあります。それは公開したとしても、したものが悪者にされてしまう現在の状況にも問題があるからだと思います。黙っているものの方が正しい繁殖者だと認識され、公開したものがバカを見るような時代の中では飼い主サイドが求めている健全なものを見つけるのは大変なことでしょう。


人為的に作られた犬という一つの大きな枠の中に存在する犬種群に、定められた犬種標準に乗っ取って、必要のない、もしくは、外れたものには厳しい形ではあるが淘汰という方法が脈々と続けられてきています。ただしこの淘汰という方法が、生物学上、存在するに値しない命であったかどうかは疑問の残るところなのです。
一つの定められた形に固定するには多くの努力と忍耐と、その後ろに隠された多くの失われなくても良かった命が失われてきていることは現実です。


命という視点から考えるのか、犬種の確立、存続を考えるのかによって繁殖意図は大きく変わってくるのだと思います。


スタンダード(犬種標準)に書かれている失格事項の多くには、何故それが問題なのかを書かれているものは少ないのが現状です。それはその犬種に関わるブリーダーたちが経験を通して学んでいくべきことなのでしょう。できうるなら、多くの情報を学べる機会が増えることを願っています。


繁殖は考えようによって命というとてつもなく重い、また逆に簡単に軽んじられるものを生み出す行為です。人類は最高の知能を持つ、まさに神の様な高等動物であるだろうが、だからこそ、命あるものを大切にしていく心だけは忘れて欲しくないものです。


命の誕生は本当に素晴らしいものです。


この世に生を受けたもの達に関わったものにはたとえそれが犬であろうとも、大きな責任が覆い被さってくると考えています。わが子に関わる親のように・・・そう考えられたとき、初めて命の重さを感じられる気がするのです・・・
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