MAGIC WORLD - 虹の橋
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★5★ 初めてのハンドリング


毎晩毎晩、マリンを引いてくれたハンドラーさんのハンドリングのビデオを見ました。どうやって台の上に立たせているのか、どうやって犬を誘導して走るのか、どういう形に犬を立たせているのか、来る日も来る日も家での話題はハンドリングのことです。子供にビデオを取ってもらって一喜一憂し、何が、どこが違うのか、散歩が終わると練習しました。小学生の息子たちにママはどこが変かなとよく聞いたものです(笑)子供の意見は馬鹿にはできず痛い所をはっきりといわれました(笑)あんなに真剣に毎晩毎晩練習したのは、いくら思い返しても今までに経験したことはありませんでした。


パパに引いてもらってみたり子供に引かしてマリンはどういう風に走るのかを見たり、どの位のスピードが合っているのか、どういう風に減速すれば綺麗に止まるのか何もかも解らないことばかりで、結果は何も出てきません。リードワーク1つ知りませんでしたから・・・・先ずはリードのかけ方、持ち方からです。ハンドリングにともなってスタンダードも勉強しました。


でも犬のことに一生懸命になってしまった私を子供の学校関係の友人たちにはあきれ果て、『犬にかまけて子供をほうりっぱなしなんだってさ』と悪口を言われたこともありました。今はもっとすごいのかもしれませんがこの当時も子供の中学受験に母親たちが目の色を変えていたからでしょう。当の子供たちは、色々口うるさく言われなくてほっとしていたらしかったようで、マリキャンのおかげで僕らは解放されたんだよと言うくらいでした。今、息子たちと良い関係でいられるのも息子たちを自分の思い通りにがんじがらめにしないで済んだからじゃないかなと思っています。


MARINだからこそ、私の希望をかなえる為に色々不満はあったでしょうが付き合ってくれ、窮屈な思いすら信頼に変えて行ってくれた気がしています。人間じゃこう上手くは行かなかっただろうなと思うことが沢山ありました。それになんと言っても犬をただのペットくらいにしか考えていない人に何を言われても気にならないくらい私はMARINにぞっこんだったのです。





さあ、引くからには、マリンの体のつくりを把握しなくては引き方立たせ方の見当がつきません。どこに欠点がありどこを強調してみせると一番マリンを良く見せられるのか、最初はちんぷんかんぷんでした。スタンダードは読んでも読んでも全く解らないのです。角度が何たら、バランスが何たらかんたら、歩様がどうのこうの・・・???分度器まで持ち出して、ここがこうだからああでもないとかこうでもないとか・・・


ハンドラーさんやブリーダーさんがはなしてた業界用語のような言葉もちんぷんかんぷんで、辞書まで引っ張り出して調べる始末です。(笑)何かといえばブリーダーさんの家におじゃましたり電話攻撃で、解らないことは解るまでああでもないとかこうでもないとか勉強させてもらいました。おかげさまで、もう忘れろと言われてもそう簡単には忘れられなくなってしまいました。


そうこうしているうちにマリンはいつもの公園でならとても綺麗に走ってステイも決まるようになってきました。少しづつマリンの癖もわたしの癖も見えてきました。ちょっと自信のついた私は無謀にもまたあの明治公園のショーに出陳の申し込みをしてしまったのです。何も初めてのショーに明治公園を選ばなくてもいいものを、それもまだろくに引けないうちにやってしまいました。


結果はいわずと知れた当然の敗北です。でもすごく悔しかった。。。だって本当ならMARINは相手の犬たちには勝てるはずのレベルだったことを多くの人たちから言われ、ハンドラーがネェとずいぶんと蔑まれていることがひしひしと感じられたからです。私のせいでMARINを負けさせてしまった。。。このときの気持ちがこれからに又つながりを広げていくことになったのです。





自分がマリンを引けないもどかしさ、確かにプロが引いてくれたから勝てたのかもしれないけど、自分はどうしてそれが出来ないのか、自分の犬で毎日の生活をともにし、すべての、絶対の信頼を勝ち得ていると言う自信があったのに、マリンはいつもの公園で走るようには一切走ってはくれなかったのです。彼女の中にはまるでトラウマがあるかのように、
リンクに入ったとたんいつものマリンではなくなってしまいました。それがわかった瞬間からどうにもこうにもならなくなってしまったのです。


考えても出来ない、何からはじめていいのかもわからない、リードの持ち方さえ知らない私がマリンを勝たせるなんて出来るのか・・・生まれてはじめてぶつかった大きな越えられない壁でした。あんなに速く綺麗に生き生きとと走れるのに会場では元気に喜んでいるのに、リンクに入ったとたん豹変しました。張り切るほうならいいのですが、『しら〜・・・』というかんじです。いつも犬より私が先に走っています。格好悪いことありません(笑)


ずるずる犬を引きずって・・・ステイの時に使う餌だって見向きもしません。ピコピコなるおもちゃも、大好きなボールさえ(笑)


何度色んなハンドラーさんや、他のブリーダーさんたちに笑われたか知れません。甘やかしてるからだと言われたこともありました。犬は犬として扱わないから駄目なのだとも言われました。そう言われるたびにもう無理かなと考えます。だってマリンは自分は人間だと思って暮らしていると思うように毎日を送っています。





でもどんなに言われても、言われたように犬として扱う飼い方は出来ませんでした。MARINは息子たちと変らない存在です。家にいるのに何も悪戯もしないし吠えたりもしない子なのにショーにかつ為にゲージに閉じ込めて置くなんって私にはできません。リードを付けてハンドリングされることが一番の楽しみになるようにほかの時間は我慢させておくなんてできないのです。





車に乗るときだって後ろの座席で『座っていてね』といえば車が止まって下りるときに『抱っこよ』というまでまったく動かないでいられる子です。お布団に一緒に寝たって私たちに対して威張ってきたり威嚇行動があったりする事なんか微塵もない子です。食べ物やおもちゃに釣られて誰にでもへらへらする犬は、もしそれが自分の息子たちだったらと考えると身の毛もよだつ行為でした。犬として扱うという意味が私には理不尽な言葉にしか聞こえません。MARINはその頃私にとってもう犬ではなくなっていたのです。そんな形で共に暮らす家族に対して『もったいないね』と言われたのがどんなに悔しかったか・・・


自分ひとりなら何とかできてもそこにはマリンと言う相棒がいるのです。彼女の気持ちを切り替えて上げられるのはきっと自分しかいないのだとショーを嫌いな仔にはしたくなくて、布団をかぶって泣いた日もありました。あのリンクの中で、一緒にいることが嬉しくて仕方の無い子にするにはどうしたら良いんだろうと・・・・少しづつ、目に見えては変わらなかったけれど、マリンは私がどうしたら喜ぶのか考えていたようです。


私が、MARINが上手に走れたときにとっても喜ぶことを少しづつ理解し始めました。そして私自身もMARINに過度の期待をかけ過ぎていてある程度の時には心から喜んでおらず形だけオーバーに褒めるという今では笑ってしまうような初歩的なミスを繰り返している事に気がつきました。MARINは本心からよろこんだときとそうじゃないときとを極端に態度に現わして教えてくれたからです。


犬は敏感な生き物です。人間よりもはるかに繊細で心の動きすら読み取るようなところがあるのです。だから格好ばかり褒めているときにはMARINは答えを返してはくれませんでした。押し付けられている行為であるのに、本人は楽しくもないことを腹の中ではこんなんじゃ駄目よとののしっているのに、笑顔いっぱいにへらへら笑いを浮かべ『上手だネェ〜』といったところでMARINは全てお見通しだったわけです(笑)そのうえ、ショーのことを楽しんでいるのは私だけでマリンはただ付き合ってくれているだけで楽しくもなんともなかったのだろう思います。





試行錯誤の中でようやくMARINが求めている事に気がつき始めました。夏がすぎ秋の気配を感じる頃になっていました。一緒に走るだけでも楽しいねとまりんが答えてくれるようになった頃…、ついに勝つ日がやってきました。その日も決して本来のマリンではありませんでした。相手はたまたま初めて出てきた子でしかもジュニアのクラスにはそのことマリンのたった2頭だけでした。相手の子もマリンもたぶん同じような感じだったと思います。きっと神様があまりに気の毒に思って勝たせてくれたのでしょう。


その時に私は心から喜びました。マリンを抱き上げて、ほおずりし、どんなに嬉しいかをマリンに話し掛けました。するとマリンは今まで決して見せたことの無いはしゃぎようで、リンクの中で飛び跳ねました。その日から、毎回順調に思うような走りにはなりませんでしたが、確実に進歩し始めたのです。マリンがショーリンクで走ることを楽しみだしてくれたからだろうと思います。


ブリーダーさんの娘さんが、私がハンドリングのノウハウが分からなくて悩んでいることを相談すると快くトレーニングをしてくれることになりました。細かいリードワークや、ちょっとしたポイント、トリミングのやり方、団体によって違うステイの仕方、服装のあり方、審査員の人に対する礼儀、そして彼女から見た、わたしの引き方の問題点など、普通ならなかなか教えてはもらえないようなことまで、しっかりと教えていただきました。


彼女はあのブルークリスタルと組んで何度も大きなショーを勝った人です。恐れ多いと思いながらもわらをもすがる思いです。その日一日に教わった数々のことは今でもわたしの大切な教訓と経験になっています。
その日に取ったビデオは今でも大切なわたしの宝物です。彼女からのアドバイスがなかったら、きっとマリンは自分の手でチャンピオンにはさせられなかったでしょう。心と心が繋がっていてもショーには技術が必要だからです。


そしてその後、
私とマリンは2回ほど苦汁を飲みましたが、
確実にチャンピオンに向かって走り出しました。
調子に乗ったマリンは、
引いてくれたハンドラーさん以外の有名なハンドラーさんからも
『よく動くようになったね!何かしたの?』
と聞かれるほど、本当に走るようになったのです。
それは私にとってだけでなくマリンにとってもショーが楽しいものに変化した証しでもありました。vol.6へ続く…。




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