ケルコ!と呼ばれながらパフィーは育っていきます。ちょっと柄は違うけれど母親のメロディーにそっくりなフワフワな子犬です。
美しいブルーマールとして生まれながら性格が悪そうで人には渡せないかもしれないと思ったパフィーは予想を裏切ってどんどんいい子になっていきます。何がどうしてそうなったのかいまだにはっきりとはわかりませんが、パフィーから得た答えをできるだけ受け止めてやってきた子育てだったように思います。お茶目でそれかわいい〜!と褒めると何度でもやるのです。
今思えばキャンディーの子育ての時に謀らずもたくさん失敗した経験がパフィーの子育てには大いに役立ったということなのかもしれません。パフィーはキャンディー同様に人の気持ちをつかんで行動することが多く人間を良く観察している犬でした。私たちの行動が自分に向けられていることなのか、他の犬に向けられていることなのかを瞬時に見抜いてしまうような犬です。
シェルティーではあまりこういう犬は見かけませんがボーダーコリーにはよくいるタイプです。もしかしたら普通のシェルティーより頭がいいのかも?と親の欲眼で芸のようなものを教えてみると水を吸うようにすぐに覚えてしまいます。
その上にほめ言葉に弱いタイプでした。
パーちゃんってすごいねぇ〜!パーちゃんって上手だねぇ〜!
パフィーがうちの子になってから一日に何回この言葉が飛び交ったでしょうか。。。
シェルティーとして雰囲気も良くこれはチャンと耳セットをしなくてはと気合が入りました。ところがパフィーは2回目の予防注射を受けた後からしばらくしてアルコールに過敏に反応するようになってしまい耳の中をエーテルでふき取ると真っ赤になってしまうのです。腫れあがった耳に途方にくれたのは言うまでもありません。
アルコール過敏症は人間でもありますが、耳セットのように粘膜をエーテルでふき取ったりしたら真っ赤に腫れあがってしまいます。痛くて痒くてどうしてこんなことになったのか?ママがやったんじゃない!とパフィーは私をなじるように見ます。そして痒い痒いと苦しみました。
この子はショーは無理だ。。。せっかくこんな子が生まれたのに・・・。当時の挫折感は言い表せません。ファンタの後なかなかショーに行きたいと思うような仔犬が残ることがなく、たまたま運よくパフィーが残ってと期待し始めていたのに奈落の底です。。。
無理をして時間はかかっても他の物でテープをはがすなどの方法でと数回試しましたが、土台耳セットは犬が好んでさせてくれるようなことではないので、パフィーの顔はどんどん曇るようになってしまいました。
初めての耳セットの時、まだ耳が赤くはならなかった。
今まで築き上げてきたあの大変だった時間を思うと恨めしそうなパフィーの眼に、キャンディーの時のことが思い出され、このまま繰り返していたら信頼関係そのものが崩れると気がつきました。そうそう、ドッグショーだけが君の人生じゃなかったね、何もしなくてもいいからのんびり暮らそうよって思っていたんだったよねと改めて思い出し、耳セットの断念を決めました。私はパフィーとショーに出ることよりもパフィーと長く暮らす時間を信頼に満ちたものでいたいと願っていたのです。
ショーに出ないから何もしないってことじゃありません。その子が持つものを光らせてやることができたらそれは素晴らしい犬との時間になるはずです。モコモコなゴージャスなパフィーはこの際だから芸達者な子にしようと方向を変えこのころからドッグトリックを覚え始めます。