我家のメンバーにはいろんな事情を携えて来た子がいます。サムもその中の1頭でした。我家の一員になることは最初から神様に定められていたのか後でもらったサムの血統証の名前にはMAGICの文字が入っていました。。。サムはベナイアー系の綺麗なセーブルのシェルティーです。
AM-CH CONSORT CAPITALEDITION SURFERS jp SUMMER MAGIC PEACEWYNDE SWEET JUSTICE |
サム 1997年12月24日誕生 |
サムは1歳と5ヶ月で我が家の仔になった。たぶん我が家で一番美しく穏やかなシェルティーだと思う。サムはもともと、私の親戚の家で飼っていた犬である。生後4ヶ月くらいまでは将来を有望視され、ブリーダー元にいた子だったが、縁あって叔父の家に迎え入れられた。綺麗なピュアセーブルで、おとなしく、穏やかで・・・叔父の家に連れて行く前に我が家の庭で元気いっぱいに走り回った仔である。
『シェルティーを飼うのなら、室内で飼う事、手入れもきちんとしてね。イイ犬だから耳セットもちゃんとやってね』昔から動物好きなおじに、何度も念押しして渡した仔だ。子供のころから慣れ親しんでいる叔父であったから、初めての室内飼いではあったがそうは心配はしていなかった。しばらくの間はよくサムの情報を伝えてくれたしやれ耳セットがどうのこうのと張り切っていた。毎日頑張って散歩にも行ってたし、可愛がってることは話の合間に垣間見えたものだった。
そのうちに、サムがまだ若いうちにもう1頭欲しいから、いい子を探してほしいという。そこで登場するのがエリーである。ところが、エリーが見つかり我が家に来たあたりから雲行きが怪しくなってきた。しょっちゅう連絡が会ったのが途絶え途絶えになり、いつの間にかエリーは飼う事が難しいという。実際、無責任じゃない!と怒りがこみ上げてきたがもうすでにエリーは着てしまっていたし、返せばどこに行ってしまうかもわからない。それに、エリーは我が家で存在感のある子になりつつあり、うちの子になる運命だったのだから。。。ただし、もう2度と犬のことで叔父には関わらないと決めるのはこの件のしばらく後、次の年になってからであった。
愛ちゃんを亡くし、記憶の薄い半年の間に、レインたちが生まれ、エリーも一緒に育っていく中、我が家で生まれたわけではないサムのことは、だいぶ忘れてしまっていたと思う。
翌年の春先、突然思い出し、『もういい感じになってるはずだから一回見せてほしいなぁ』と連絡すると叔父はサムを我が家に連れてきた。サムのあまりの変貌に驚く私を尻目に、叔父は、家庭の事情を色々話し出した。
サムを室内で飼う事で起きる抜け毛のことや肉体的に毎日の散歩が大変なことや純血種の犬は金がかかるということなどなど・・・。別に純血種じゃなくてもお金はかかるんだけど・・・内容を聞くうちに、今までに飼った犬たちとはまったく違うのでそれができないといいたいんだなと気がついた。サムは見事なコートを持っているために普通のうちだったら手入れの大変な犬だと思う。ショー用としたら非常に有難い毛質も、ごくごく普通の家ではただの無駄な毛なのだから・・・ましてや犬なんかは外で飼うものという認識で今まで何十年も暮らし、周りのどこを見ても外で飼う家ばかりで毎年かかる出費のことや、ドッグフードでさえプレミアムフードが高いと感じてしまうわけで、犬の手入れというもの自体の経験があまりに無い叔父たちにとってサムは、いつの間にかお金のかかる厄介者になっていたのだろう。
私が関わったばかりに、言われたことだけはしなければと確かに室内で飼いはしたものの、1畳ばかりの広さサークルの中に一日中入れられ人の来ない店と自宅に通じる玄関が彼の居場所だったようだ。小さいときには可愛いことや扱いやすい大きさだったことで連れまわした叔父も、むくむくと大きくなったサムを毎晩散歩に連れては行かなかった。そして犬に話しかけて育てることを知らなかった叔父たちはサムを無表情な表現力の無い無気力な仔に育てていた。。。犬と暮らすことは飼う人自身がしっかりとした考えを持たない限り、周りに流されがちになることは良く知っている。親戚であることが、初めて犬を買う人たちと同じ様に伝えられなかった。年もずっと上だし、何より野生の動物のことを子供のころに色々教えてくれたのはほかでもないこの叔父であったからだ。
サムにはかわいそうなことをしたが、私にも責任の一端はあると思い、精神的な状態を戻すためにも肉体的な状態を取り戻すためにもしばらくうちにおくことにして、うちで飼うから大丈夫よというと叔父たち夫婦は来たときの暗い顔はなくなりほっとした顔でよろしくねと帰っていった。この日以来、叔父は気まずいのか我が家には顔を出さない(苦笑)きたらサムをつれて帰らされると思うのかも(~_~;)もう手放したりしないのにね(笑)実家に行っては『サムは元気なのかな?』とたまに話が出るそうで『すごく綺麗な犬になったぞ。』と父や母が言うと、『そうなんだよ。あの犬はいい犬なんだ』といってたよと報告してくれるが、返されたら困るのか(笑)サムのことは私との電話のなかにでも触れてこない。結局そのままである。
『よろしくね』か・・・何時かそんな叔父たちの前に美しく明るくなった素晴らしいサムを見せてやりたいと思う。「あぁ手放して惜しいことをした」と思うほど今は素敵な犬になった。来たときはあぜんとするくらい『山犬?』と思うほど毛は絡み、爪は伸び、ぼさぼさの毛玉の塊だったから(笑)かろうじて連れて来る直前にシャンプーだけはしてくれたらしく、毛の中が湿っていた。(~_~;)何故かサムの体から新聞紙のインクのにおいがしていたから、きっと敷物は新聞紙だったのだろうなと思った(~_~;)とにかく毛玉をとらなければどうにもならないから、毎日毎日、4時間くらいづつかけて1週間かかってようやくすべての毛玉をとり終えた。
ぼさぼさの毛をカットし、どこにパットがあるのかわからない足先を整え、良い匂いのシャンプーで洗い、ドライイングする間、サムは気持ちよさそうにすっかり私に身をまかせていた。
爪を切っても、多少毛をひっぱっても、サムはおっとりとして嫌がろうともせず、目をつぶり気持ちよさそうにしていた。すっかり綺麗になったサムは、人も振り返るほど見事なコートだし、可愛い顔は優しげで、ほとんど吠えることもない。彼が我が家に着てからもう5年になった。ダッシュ、ミールの後ろに控え、オス同士でも争うこともなく、控えめでおとなしい。
来た日から約一年の間、なかなか自分を表現できなくて苦労したね。今じゃ、「さぁねるよ〜!」というと、ダックスがいようが誰がいようが怒られたって平気な顔で私のところにおやすみの挨拶をしに来るようになったね。たまに仔犬のようになって部屋中かけまわり、みんなを巻き込んで追いかけっこをするサムの遊び方は子犬のときのそのままである。サムは私の大切な友人の産ませた犬だ。私の親戚だからこそ、信頼して託してくれた子だ。サム自身もぽちと言われるような犬じゃない(~_~;)サムは幸せにしてあげないと友人にも申し訳ないことだと思っている。一番大事な仔犬時代をうまくすごせなかった代償に、サムは自由と暖かいベッドを手に入れられたのだから・・・のんびり屋のおかげで、大勢の中でも何とかうまく生活していける仔で助かっている。このサムの一件が会ってから、犬がほしいという親戚、兄弟には余計に身構えてしまう私がいる。
本当に犬を大事にしてくれるのか、ちゃんと見極めないと第二のサムが現れてしまうだろう。サムの経験したことはもうほかの犬にはして欲しくない。犬は人に話しかけられ、撫ぜられて、抱きしめられるのが幸せなのだから。そう、一人ぼっちは嫌いなんだよ。いくら家の中にいても、サークルに入りっぱなしじゃあね。僕だって歩きたいし、走りたいんだよ・・・・サムがしゃべれたらきっとそういうのだろうと思う。我慢強く自らにおかれた環境を受け入れるしかなかったサムの心のうちを思うとのんびり我家で一緒に暮らそうねと彼の豊かなコートに顔をうずめてごめんねとわびる自分がいる。
サムはそんな私の気持ちを知ってか知らずかやわらかい表情で甘えてくれるのだ。さぁ、今日もブラシしようね、サムチン!いいかおだねぇ!