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チビちゃん 2005年2月22日没
誕生後・・・戦いの始まり・・・
02/19/2005 |
その後1 |
レインは水しか飲まない。膀胱炎の症状がでる。抗生剤が効かないの?食欲もまったくない。 普通の帝王切開なら一晩立てば少しは食べてくれるのに、かなり炎症がひどかったってことだ。 ささ身をゆでてあげてみたが一本の半分も食べない。 サツマイモはひとかけ食べた。
昨夜はYUUKIがレインの付き添って傍にいた。ぐったりしているレインが心配で、15日からほとんど寝ていないのに又昨夜も寝れなかったようだ。 ちびっ子は上手く保温が聞かないので一晩抱き続けた。傍にはみんな集まってかわるがわる子犬を見に来る。 中でもアスカは尋常ではなくその子をあたしに頂戴といって傍から離れようとしない。子犬のおしりを舐めてくれるので胎便も上手くでてくれた。おしっこだって綺麗に刺激してくれるので気持ちよく出るようだ。 感染が恐いので顔だけは遠慮してもらう。ほかの子が子犬に近づかないように威嚇して歩く。 もしかしたらと思うとすでにおっぱいが張ってきていた。
チビはミルクが上手くすえない。飲む気はあるけれどすぐにむせてしまうのでカテーテルしかないのかと考えていたところだった。通常230グラムもある子なら上手くのめるのに呼吸がうまくいかないようだった。おっぱいなら子犬は呼吸しながら上手に飲めるような構造を持っているのでアスカが助けてくれるかもしれないと淡い期待を抱いた。
チビのミルクを飲む量とおしっこがでる量が違いが多すぎてどんどん体重が減ってしまう。胸がぺっちゃんこになってしまって呼吸困難を起こしてしまう。肺炎だと思った。 胸から聞こえるゼイゼイした音がひどく耳障りに思えるほど大きくなってきたので病院に走った。
レントゲンを撮って肺炎だとわかる。肺が一部白くなっていた。目の前が暗くなる。でもリンゲルと抗生剤を打ってもらい、ネブライザーをかけて帰宅するしかなかった。
「この子のためにできるだけのことをしてあげましょうよ」・・・若い先生の言った言葉がむなしく聞こえた。
点滴を入れたせいか少しだけ元気を取り戻したチビは家に帰るとアスカのおっぱいにむしゃぶりつく。まだそんなには出ないおっぱいを懸命に吸いアスカは満足げに子犬を抱いてくれる。 つまんでみると勢い良くピューと飛ぶほどでている。 これなら水分補給だけは何とかいけそうだ。 足りない分をミルクとファクターを混ぜたものを飲ませる。血圧が安定するの下ファクターを飲ませると血色が良くなり元気一杯で耳をぴピクピクさせたりまだ開かないまぶたを動かしたりする。
向って右耳はBlue、左耳は黒い。ブレーズは見事に広くレインにそっくりな綺麗な顔だ。 柄もマリンのように霜降りに近くBlueと黒がはっきりととして細かい模様のあるボディだ。広いフルカラー・・・ マリンと同じ場所の腰の部分に大きな黒がかかっている。手足と尻尾の先は白。
うまれた日が早すぎたせいか足先や耳の先鼻の先などの白い部分はピンク色で毛が生えていない。 でも昨日より確実に毛が出てきている。 おっぱいが欲しいとぺろぺろと足をしゃぶる。 何とかして生きさせてやりたい・・・
母親でなくても成犬の体温は私たちがする保温より的確な温度でさめることも少ないから子犬はアスカに抱かれて一時元気を取り戻した。
レインは自力でトイレを済ませるが水しか飲まずに食欲はない。 大きな出血やショックが起こらないでくれれば良いがこのまま明日の朝も食べないらならチビと一緒に病院に連れて行って点滴をするなり薬を変えてもらうなりしなくてはならないだろう。 今日はとにかくゆっくりと寝ているレインを横目にチビの世話に追いまくられて頭がぼっとしてしまうし、YUUKIと交代でで寝ようと話し合って彼を先に眠らせた。
彼が寝て何時間もしないうちにはじめての呼吸困難が起きた。 何かがのどに詰まったかのようで息をしたいのにできなく出苦しみもがく。 何とかしなくちゃと背中を叩いたりさすったりするうちにつまったものが取れたのかようやく血色も戻り普通になった。 YUUKIを起こす。
同じ寝るなら別の部屋じゃなく傍にいて欲しかったから・・・ 夜、抗生剤の注射を打つ。。。 炎症が止まれば助かるんじゃないだろうか。今はこんなに元気で可愛いしぐさを見せてくれる。息を吹き返したときに私は生きたいのよといっているように見える。
何とかしてやりたい。何日たてば効果がでてくる?この子の体力が続くうちに早く薬が効いてくれないだろうか。
アスカが付きまとう。赤ちゃんを帰してという。レインがにらむ。でもそのうちに受け入れて傍にいても怒らなくなった。 まるで私の子を頼むわというかのように・・・
私が子犬を抱き、おっぱいを飲ませるときだけアスカが抱く。アスカは献身的に大事そうにそっとそっと子犬を舐めて世話をする。 アスカ、ありがとうね。あんたが頑張ってくれるからチビは飲めないはずの乳房を知ることができたね。ありがとう・・・
その後、夜、何時間かおきに発作のように呼吸困難を起こす。そのたびに蘇生をする。 だんだんチアノーゼがひどくなるが、息を吹き返せば元気で普通の子犬と変らない。
でもキャンディーのときを思い出す。あの子もそうだった。 チビも呼吸が止まっている時間が長くなってくるんじゃないかと不安ばかり募る。 心臓の強い子だ。普通ならあれで生き返らないって思うくらいなのに必ず息を吹き返す。
私たちに出来ることはあの子が突然呼吸停止を起こしたときにすぐに蘇生して上げられる状態でいることしかない。 それにはずっと寝ないで抱いていなければ出来ないことだ。ヒカルのときと同じように苦しくならないような体制を保ちずっと保持し続けること・・・
でもそれは通常の生活では一人では決してできないことだろう。今は出来るのだから、そして頼まれているからやっているわけではないYUUKIに感謝している。
それでも追い討ちがかかる。こんな深刻な事態だとはまだ感づいていないパパがいる。 こういうときわたしは無口になるからだ。犬のことで家族に迷惑をかけているとわかっているから話せば良いのに何もいわない。 どれほど大変なのか、どれほど寝ていないのか・・・珍しく早起きしてるんだなと、ずいぶん遅くまでおきてるんだとは思うだろうが、一日のサイクルを知っているのは私とYUUKIだけだ。
15日から19日まで私たちの熟睡した時間は交代で一日平均3時間くらいだ。
「YUUKIがいなかったら一人でできるの?」パパからの言葉にひどく打ちのめされた私がいた。
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02/20/2005 |
その後2 |
夜中何度も蘇生をしてチビは新しい朝を迎えた。レインは相変わらず朝ごはんも食べたくないという。 病院に向った。 炎症を抑える薬は変えなくても大丈夫。もうじき効果がでてくるが念のため点滴をしたら体が楽になるだろうと半日入院でお願いする。 不安そうなレインの顔。ごめんね、レイン。早く体を楽にしよう。点滴を入れてもらえばきっと少し元気になるから少しだけ嫌いな病院も我慢しよう。
何時もなら「病院なんか大嫌い!」というレインはおとなしく先生に抱かれていった。
チビはネブライザーをかけて皮下点滴と抗生剤を入れてもらう。 淡い期待を抱いて「先生、何日くらい持ったら肺炎が収まるの?」「なんともいえないですね、進んでいるか収まって来たかにも寄るし。。。」
わかっている答えをもらって又落ち込む自分がいる。
「たんが絡むみたいで呼吸困難になっちゃうんですけどどうにもできないの?」「・・・そうですねぇ・・・」困らせてしまうような質問しかできない。
新生児、ましてや未熟児?がのどに詰まったタンを押し出す力などないことは誰でも知っている。 吸い出すといったって限界がある。ある程度の体の大きさがある子犬とはわけがちがうんだから・・・
レインを残し家に帰る。 もう限界だった。交代でお迎えに行く時間前での間寝ることにした。でも互いに寝るとすぐに子犬が発作的に呼吸困難になるので飛び起きて蘇生を手伝うことになる。 それでも二時間くらいづついは寝れただろうか? 叩いたりさすったりするだけでは息を吹き返せないことがおきた。
YUUKIが子犬の鼻から息を吹きいれた。プハッ!っといって急速に顔の色が変った。 ヘナヘナと座り込んでいる私。。。YUUKIのほうがずっと冷静だった。 このときからチビをYUUKIがずっと抱くことになる。蘇生したときからすごくいとおしそうに子犬に接していた。思い返せば生まれた瞬間から息を吹き返すときまでずっと1頭の子犬に付き添ってやったのはこの子がはじめてだっただろう。 私よりずっと彼のほうがこの子に対する思いは深いのかもしれないなと思いながらこころ強いだけではなく実際に使える人間として成長したYUUKIに少しだけうれしくなった瞬間だった。
この大きな呼吸困難のあとはかなりの長い時間チビは穏やかな時間を送った。 呼吸も安定してきて顔の色や体の色もピンク色になり充分呼吸ができてるんだなって判る状態だ。
夜になった。病院から点滴終りましたよという電話が来る。 レインは私たちの姿が見えると今までおとなしくしていた犬とは思えないように「ここから出しなさいよ〜!出さないと暴れるわよ〜!」という勢いでギャンギャンわめき他の患者さんたちに白い目で見られちゃうわというほど大騒ぎするのですぐに連れ出された(苦笑)
たぶんおしっこを我慢してたのよねと思い外に連れ出すとレインとは思えないようなひっぱり方で私をひきづって歩く(苦笑) さぁおしっこして良いよといっても、顔を見上げヒンヒン言うので仕方なくレインの行きたいほうに行くと車に直行し前をうろうろしてそのうちには車をかきむしろうとする。
車に傷なんか付けたら思いっきりパパに叱られるじゃんと急いでドアを開けると今朝までぐったりしていたレインは抱いてもらうのを待てずに自ら車内に飛び込んですくっとたって私を見下ろした。 まるで 「まったく私の嫌いな病院に半日も置いていって許せないわ!」とでも言っているかのようだ。
会計を済ませていないのでおとなしく待っているのよと言い捨て病院に戻る。。。まったくおなかを切ったばかりの子とは思えないわ、さすがレインねと思わず苦笑する私だった。
チビも点滴をしネブライザーを当てこのままいけると良いですねと少しだけ希望をわかせて、レインの為に手術後に食べさせる高価な缶詰を購入し家路に着いた。
後にも先にも緊急手術の日から心から穏やかにいられる時間が数時間できた一日だった。
でも夜中になると少しづつチビの様子は悪くなり発作の回数が増え始めた。 アスカは相変わらずおとなしく一切吠えずに傍にいて舐めると転がるからやめてねと言えばぐっと伸びた体制でおっぱいを良く飲ませてくれる。 まるで子犬を産んだこのように膨らむ乳腺。チビの減った体重が少しづつ戻ってきている。 これならいけるかもしれないという淡い期待を持ちながら、おきるたびにひどくなる発作にどんどんマイナス思考になっていく自分がいた。
急に思いついて酸素ボンベを買ってくるとオリンピックまで行く。 人工呼吸をして回復するチャンスがまだあるのだから酸素が多かったらもっと楽になるだろうと考えたからだ。 あるだけ全部買った。でも3本しかなかった。 今晩これで何とかなるだろうかと車に乗り込むとYUUKIから電話が入る。
「母さん駄目かもしれないよ・・・」電話が切れた。 涙が出そうになるのをこらえて急いで帰り車を家の横に止めてボンベだけ持って二階に走りこんだ。
そこにはにっこりしたYUUKIがいた。 「こいつ、まだ生きたいって頑張れるんだ・・・」
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02/21/2005 |
その後3 |
長い夜が明けた。夜中の12時から数えて9回呼吸困難。 買い物に行っているときにおきた呼吸困難の後から心拍数が増えたように思う。
それでもまだチビの心拍は正常だし力強く打っている。呼吸さえ戻れば血色も良くなりすぐにおっぱい飲むのよ口元をぺろっぺろしてアスカの乳房にしがみつく。 どうしてこのまま穏やかに時が過ぎないのかと神様を呪いたくなる。
飲んだ後決まって呼吸困難がおきるようになった。
朝8時半になると車に乗って病院へ急ぐ。決められた日課になった。
なんとなく、こうして毎回痛い思いをさせリンゲルを打つのはドウなんだろうと悩み始めた。 良い結果に繋がるのか?苦しみを伸ばしているだけじゃないのか?
先輩の言った言葉が頭に響く。 「私もさ、毎回これで良いのかって思うことばかりよ。苦しめてるだけじゃないのか、こんなことして何になるのってね、でも、あきらめちゃ駄目よ。もしかしたら助かるかもしれないなら頑張ってあげられるのはあなただけなのよ。。。」
判ってる。頭の中では判ってる。でもあの苦しみを見たらこれで良いのかという自問自答ばかりに押しつぶされていく自分がいる。
増え始めた体重も今日はなかなか増えてこない。大きく生まれてなんかずいぶんしっかりした子だね、もし正常な日に生まれてたら300くらいあったんじゃないかねって言うチビは生まれたときとは明らかに違いがでてきていた。毛ばかり生えていかにも成長していますって感じなのに、一回り小さくなっていた。
アスカのおっぱいとわたしたちは一滴一滴誤飲しないように指を吸わせながら飲ませていくミルクでは足りないのだろうか?ファクターを混ぜて飲ませると血色が良くなるのに、その続く時間が短くなっている。
なんとなくおなかの色が青ぽく見える。チアノーゼだろう。 うんちも良く出なくなった。アスカが懸命に刺激して舐め取ってくれるけれど出せなくなってきたっていう感じがする。消化できないって言うかおなかが少し張ってきているのだ。 内臓は大丈夫なの?あれだけの呼吸困難を起こして今こうしてチアノーゼが続くってことは脳へのダメージはないの?
体温が下がってくるから保温の温度を高めにする。低温やけどをしないようにしながら調整しても抱いている人間のほうが辛くなったりする。
さまざまな不安が頭をよぎる。生きられても大きな障害が残るんじゃないだろうか?ちゃんと立てるようになるの?
でもこうして獣医さんに毎日朝晩来るのはやっぱり助けたいからだ。 私が打ったらきっと痛いだろうと思うからこそ、わざわざしっかり保温して連れてくる。 ネブライザーをかけたら少しは楽になるだろうとおもうからこそ朝晩受診してるんだ。
でも決して見た目には良くなってこない。小さいチビを抱きかかえ毎日の時間が果てしなく長く過ぎる。寝ていないんだもの時間が長い。 抱いていなくてはいつ呼吸困難を起こすかわからないから通常の生活なんかもう何日も送っていない。
少しでもパパやNAOYAに負担をかけないように勤めていても、犬たちに寂しい思いをさせないようにと思ってもできることが限られている。
犬馬鹿もここまできたらたいしたもんだ。とふと苦笑いしている自分に気がつく。 多くはこうした看病ができる人は少ないはずだ。生まれたばかりの子犬を一日中抱いてすべての予定をキャンセルして日常生活もできなくなって、新生児1頭の動き一つ一つに敏感に反応し、悩み嘆き・・・
チビは・・・ほんの一瞬で呼吸困難を起こす。2・3分目を離していればそれですべては終るのだ。 自力では蘇生できない。それをいつまで伸ばすのか・・・自問自答は繰り返される。
保温する箱に入れておいて何かをした後に覗いたらきっと冷たくなっているだろう。それだけはできない。見殺しにできるわけがない。蘇生すればまだ生きたいといってるのに。。。
自力で飲もうとしなくなったらそれは彼女があきらめたってことだと思う。チビがまだアスカのおっぱいを飲み、私たちが与えるミルクを飲んでくれるうちは希望を捨てちゃいけないと勇気を出せと自分に言い聞かせる。
「あきらめちゃ駄目よ!」そう言ってもらったじゃないか・・・
頑張れるだけ頑張ろう。どっちかが倒れるまで頑張ったって家族以外の誰に迷惑をかけるわけじゃない。自分の体力が続く限り、チビの生きたいという思いと、助けてくれるYUUKIの思いと、代理ママをかってでてくれたアスカと、苦しんで産んでくれたレインのために・・・
そう思う中にパパが子犬を抱くYUUKIに向かって言った。 「生きられる子は生きるよ。そういう運命を持って来てるんだから・・・」
チビよ・・・生きられる運命を持って生まれてきていてくれたらとママは願っているんだよ・・・
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