ありがとう・・・チビ・・・
約束しよう、きっとまた会える。
あんなに頑張ったんだからきっと神様があわせてくれる。
それまでゆっくり虹の橋の袂で神様に呼ばれるのを待っていてね・・・
02/22/2005 |
その後4 |
夜中・・・呼吸困難の回数が少なくなった。チアノーゼはひどくなってくる。
YUUKIと二人でチビを撫ぜながら、今この子に必要なことはなんだろうと話し合う。 なんとなく・・・もう助からないと感じたからかもしれなかった。
アスカが傍で鼻を鳴らす。「私に赤ちゃんを頂戴」という。 もしかしたらチビに今必要なのは母親からのスキンシップだけじゃないのかと思う。 レインは意識的にチビが自分の子という感覚は薄れてきているしおっぱいを飲ませかいがいしく舐めてくれるアスカが今はママに違いない。
今までおっぱいを飲んだ後少ししたら呼吸困難がおきてしまうので取上げて私たちが抱いていた。 そのたびにアスカは不思議なくらい騒がず黙って赤ちゃんを渡してくれた。 初めてアスカにチビをつけて以来、彼女が私にチビを頂戴と鼻を鳴らしたのは初めてだった。
ともに頑張ったアスカと私たちの思いが同じならチビはきっとアスカに抱かれていたいだろうと思う。
もし発作がおきたらそのときは又蘇生すれば良い。そのときが来るまでずっとアスカに抱かせてやろうと決め、アスカの体の周りに毛布とフリースで子犬がはみ出ていかないようにしっかりと囲い抱かせてやった。
おっぱいにしがみつくチビを何時もより数段優しく舐めるアスカ。。。 まるで壊れ物を扱うかのように優しく優しく舐め続けた。
夜中中、発作らしいものが起きないまま私もYUUKIも少しだけ安心して気を抜く時間ができた。
「苦しくならなくてよかったね」そう思ってYUUKIがすぐ横にいてほんの少し目を閉じたあとだった。
朝6時、「母さん!」と呼ばれうとうとしていた私が飛び起きて駆け寄るとYUUKIがチビの心音を聞いていた。
「ずっと見てたんだけどなんか動かないなって思って、触ってもあったかいのに、顔だってこんなにきれいな色なのに心音が聞こえないんだ。。。」
チビを受け取って抱いてみた。穏やかな顔で苦しそうな表情もなくまるで眠っているようだ。 ただ何時もと違うことはまったく動かず、抱いたときに感じる「トクントクン」と軽快なリズムが聞こえてこないことだけである。
何度も苦しがって体中白くなったり紫色になったりしたとき、口が開いて本当に苦しそうな苦悶の表情をしたあの子は、まったくそんなものが見えずにただ眠っているだけの顔だった。
「眠ったまま天国に逝けたのかな?」「苦しまなくて良かったヨね」
そんな会話をしたとたんに涙があふれ出した。止められない涙だった。 それは後悔の涙ではなく、チビが何も悪いことをしなかったチビが天国に逝く時だけ穏やかに眠りながらいけたのだという安心感から出た涙だった。
大丈夫かもしれない・・・そんな淡い期待を抱いた後神様は必ず迎えにやってくる。 あれほど続いた発作がおきず、ひどかったチアノーゼが治まってきたことをアスカに感謝している。 何よりアスカの体温によって程よく暖められ苦しみもがくこともなく優しく舐め続けられながら逝けたのだからよかったねといってあげなくちゃならないはずだ。。。 でも「あれほど頑張ったのに・・・」という思いは消えていかない。
私たちがではなく・・・チビが小さい体で懸命に生きようとしたのにそれを助けられなかった・・・ 肺炎さえ起きなかったら・・・その思いが大きくのしかかる。
助けようともがいた結果の大きな代償だった。
15日の日、死産の子が出てきたときに緊急でおなかを開けていればレインの子宮は助かったはずだ。でもチビはきっとそのときに逝ってしまっただろう。どちらが正しい選択だったかは今はまだわからない。 規則正しく聞こえてくる心音は何とか無事に生まれてこないかと、生まれてきさえしてくれれば絶対に助けて見せると思い上がった私のせいで、チビは沢山苦しんだ。 過信が過信を呼び、間違いに間違いを重ねた結果がこれだ・・・
チビはこの世に生を受けて呼吸をし、母は違ったけれどおっぱいを飲み、優しく舐められて幸せだっただろうか? たった4日間生きるために、その代償として痛い注射を朝晩され、ウンチやおしっこが漏れてしまうほど苦しみもがいても、それでも幸せだっただろうか?
穏やかの時間が続くときのあの可愛い表情。。。耳がピクピク動いてあいてないまぶたがまるで何かを見るように動き、産毛しか生えていないちいさなピンクの鼻先がヒクヒクと母親の体温を探そうと動くさまは、健全に生まれ日ごとに成長していく子犬と何も変らない。 可愛らしくて愛しくて、どうか元気に丈夫に育ちますようにと頑張るのは生まれてきてくれた子犬たちに何時も思うことと同じである。
私はこの先子犬を産ませても良いんだろうか?・・・自問自答は繰り返される・・・ ちいさなチビの亡骸を抱いてごめんねと謝りながら・・・
愛犬たちにはできるだけ死ぬまでの間に体にメスを入れないで行きたいと思って着た私がよりによってハードな運動を好むレインに入れなくても良いメスを入れるはめにさせ、大事な体の一部分を取り除かせてしまった。
年を取ってから避妊手術は大変だからかえってよかったと思えば良いわよという人もいる。私はそうは思わない。あるべき臓器は病気になりこそすれば取り除かなくてはならないが、人と同じで手術不可能になる年齢でおきてしまったなら運命だとあきらめ他の手を考えるしかないと思っている。 だからどんなに時間がたっても、こうした自体で取りぞのかなくてはならなかったレインの子宮についてはずっと後悔し続けていくだろう。。。もう二度とレインは母親にはなれないのだから・・・ 健全な体で素晴らしい子達をこの世に生み出せたはずなのに・・・みな私のせいだ・・・ 痛々しいレインのおなかの傷は私の大きな罪の証明でしかない・・・
今の時期が庭に咲く花がない。。。 泣きはらした顔で花屋にいった。いぶかしげに見る定員さん。
黄色い菊の花と蘭の花を買った。 人間と同じように顔だけ出してチビをお花で埋め尽くした。 むせるような良い匂いの中チビの顔は穏やかで何時間たってもまだ寝ているように見える。
その顔を見ながらそうだね写真撮らなかったねと思い出す。。。
そんなヒマがなかったヨね、君は可愛いからきっと元気になれるからそのときに、「ほら大変だったけど頑張ったのよ」と可愛い顔をみんなに見てもらおうと思ったんだったね。。。
君の亡骸の写真は撮らないよ。ママの心の中にちゃんと写っているから忘れない。魂のない写真はとっても意味がないから・・・ 君がうちに生まれてきて頑張った4日間はママが君たちが待つ虹の橋の袂にいくその日まで決して消えはしないから・・・
ママが踏み外しそうだった道を教えに来てくれたんだよね。もう決して同じ間違いはしないから安心して天国に逝って待ってるんだよ・・・ 君の兄弟たちにママやユウちゃんやアスカママのこと、おいしかったおっぱいのこと、君が知ったこの家の人たちのことを君を舐めてくれた犬たちのことを伝えておいてね。。。
おやすみチビちゃん・・・・ありがとうチビちゃん・・・
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02/23/2005 |
ありがとうにかえて・・・ |
この一週間、多くの皆さんに激励をいただき、応援してもらったことを本当に感謝している。 本当に心温まるMESSAGE、メール、お電話。。。ありがとうございました。 この日記に書くことでいただいたメッセージやメールのお返事と変えさせていただきたいと思う。
メールにもMESSAGEにもただ1通を除いてお返事を出していないことを申し訳なく思う。 お返事を出したのは今回のチビのパパの所有者の方にだけである。 心配して電話もしてくださり頑張ってと応援してもらった。助けられなかったことをふがいなく思うし、相手があってこそ授かった命であるから本当に申し訳ないことをしたと心苦しく思っている。
今回、緊急事態になった折長年お付き合いしていただいている先輩からの助言でレインの命を落とすことだけを避けられたことに感謝している。 おごり高ぶった自身のせいで危うくチビだけではなくレインまで危険な状況にさらしてしまった自責の念は静まることは当分ないだろう。
夜遅く連絡もしていないのに携帯をつなげてくださった先生、何とか子宮を残そうと頑張ってくださった先生、子犬の蘇生ができなくて泣いた私を慰めてくれたAHTのお姉さん、親身になっていただいてとても感謝している。
元気出しなさいよ、あんたがふさぎこんでどうするのと叱咤激励してくれた友人、みな応援してるから頑張れ〜!と一言で電話を切った友人、レインは大丈夫ですか?と、子犬ではなくうちの子を先に心配してくれた優しい友人、普段は馬鹿話ばかりなのに、「僕も子犬のお墓参りしに行ってなんとなく嫌な予感がして・・・残念でしたね、気を落とさないでね」と電話をくれた友人・・・
みんな優しくて本当に感謝している。どれほど勇気付けられただろうか? 頑張れたのはみんなのおかげだと思ってる。
でもその反面には「又生まれるわよ」「Blueの雌なの?もったいなかったね」そんな言葉が心に突き刺さる。
一杯の花の中で眠るチビはその言葉をどう受け止めているんだろう? 「ねぇママ・・・頑張らないといけないよ。私たちをお金に見える人がいなくなるその日まで・・・」 きっと彼女はそういうだろう。
今回泣きながら時間をかけてことの顛末をすべて書いたのは、自分自身の記録としてもあるけれど、こうして産ませて育てる人間もいるんだと知って欲しかったからだ。私だけでなく、子犬の命を売るための商品としてではなく、家族として受け入れ大切に育てようとするブリーダーは何人もいる。
それに簡単に子犬を産ませたいと思う人たちへ、お産にはこうした事だって起きることもあるのだと知っておいて欲しいからだ。適切な判断が間に合わなければ私たちはレインすら失ったかもしれなかった。お産にまつわる騒動で母親が死んでしまうことは珍しくはない。出産自体がうまくいっても子宮捻転が起きたり子宮は烈がおきていたりして赤ちゃんは無事でも母親が出産後急死する事もある。 実際にそういう現場に居合わせても気がつかないで手遅れにしてしまうことは沢山あるからだ。 何年もブリードをしていて、気をつけているはずなのにうちでこうして実際に起きた。
どこで子犬を買ったって、何も変らないと思ってほしくない。逝ってしまったちいさな新生児の墓参りをするブリーダーだっているのだ。 どこに、誰に売ったってかまわないって思わないブリーダーだっているのだ。
大事に大事に育てるから、母親の命を懸けて生ませるのだから、大きくなったその姿を見れないところに出したくないと、幸せに暮らしていると教えてくれる人に託したいと、産ませたからにはその子の生涯を幸せにしてくれる人に出会わせようと責任を持って頑張っているブリーダーがいる。
インターネットの普及で便利になった。 ペットショップみたいにガラスケースに閉じ込められた子犬以外にも手軽に買える方法も多くなった。 その子犬たちがどんな思いを込められて生まれてきたのか、犬と暮らそうと思う人たちに考えて欲しいからだ。
頑張っているブリーダーはまだ極少数だろうけれど、これから犬を迎えようと思う人たちがそういうブリーダーとであってくれることを願っている。 そしてそれは子犬を商品としてみない大切な友達として子供としてみていく布石になるはずだから・・・
今回のようなことは繁殖をしていけば通らなくてはならない道かもしれない。良くある話かもしれない。 先輩の言った一言が胸に残る。
「みんな手遅れが多いのよね、あっという間に死んじゃったって聞かされると辛くてね。。。良く一晩持たせられたわね」 「腰が立たないっていっても私の場合はオーバーですから・・・よれよれし始めたんで腰がたたないって大騒ぎしちゃいましたからきっとその分の時間的なものがあったんですね。。。」 「犬と一緒にいる人、良く見ている人しかできないわよねぇ。。。本当に良かったわ。」
私にとっての最大の褒め言葉だった・・・
犬と一緒にいる。良く見ている・・・これからも頑張れるだろうか。。。
たくさんのMESSAGEありがとう。。。これからチビを虹の橋の袂に送り出します・・・
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