Foreverキャンディーvol.1　出会い

私がキャンディーとであったのは、もう９年半も前になる。シェルティーが飼いたくて、一年も探し回ったある日一軒のブリーダーさんと巡り合った。かの有名な『ＩＷＡＳＨＩＭＩＺＵ』である。当時はブリーダーというものがなんたるかも知らず、ただただ仔犬が欲しくて訪問したのだった。


憧れのブルーマール（後のマリン）と巡り合い、なかなか譲ってもらえなかった時に、ホンの少しだけ心が揺れた子が姉妹のキャンディーだった。その仔はふわふわの熊のぬいぐるみのようで、真っ黒でまるでおもちゃのような子だった。
私達はその当時、子犬を２匹も買うなんて大金は持ち合わせていなかったし、とにもかくにも最優先のブルーマールを手に入れたかったから・・・

棚から牡丹餅というのはこういう事ではないかと今でも思っている。マリンのお迎えの日を相談する為に電話したブリーダーさんから思いもかけないお話が！キャンディーも一緒に連れて行ったらどうかと！？マジ〜！？このこは大きくならないとおもう。ペットちゃんでよかったら、本当に犬が好きそうだし可愛がってくれるなら・・・どう？

２頭飼うのは大変だけど本当はいろいろ考えるべきなんだけど、実際のところ２つ返事でキャンディーは我が家の子になった。チャンスは来た時につかまないとスルリと逃げていく。今まで何回も考えすぎてチャンスを逃したことがある。キャンディー獲得のチャンスは今すぐしかないでしょ？！

こういうときに即決が我家のポリシー？（笑）


機械仕掛けのような可愛く動くその仔は、キャンキャンとあまりにうるさく泣くので、家路につく間の車の中で『キャンキャン泣くからキャンディーだ！』と私の一言で命名された。ねじまきおもちゃのように、疲れるまで遊び、コトンと寝て、また起きては遊ぶハイパーな子だった。おもちゃのとりこになると、『グ〜グ〜ギャンギャン！』とまるでけんかをしているのではないかと心配するほどうなり声を上げ、ひっぱりこをしてマリンからおもちゃを取り上げるのが大好きだった。


人のものが欲しいのかと思うとそうではなくて、マリンが放してしまうと、『グ〜グ〜』とうなりながらおもちゃをマリンに押し付けにいく。なんてことは無い、ただひっぱりッコがしたいだけなのだ。嫌になってるマリンに変わり遊び相手は私たち人間になった。後になって考えてみれば２頭で初めての飼育にもかかわらず、キャンディーもMARINも姉妹の方より飼い主の私たちが大好きになったのは1頭ずつの時間が十分にあり遊び相手が私たちだったからだと思っている。


かまうと本当に面白い子だった。何でも持ってくるし、顔を傾げて話しを聞くし・・・やること全てが可愛くて、凛としたマリンとは正反対の犬だった。正反対ついでにおトイレは覚えない（笑）叱るといじける。何回か失敗が続くと下痢して病院通いもした。マリンの為にお散歩を一緒に行くのを止めたときは、ショックのためにストレス性のひどい大腸炎を起こし、獣医さんに『キャンディーちゃんはデリケートな子なんですからね！』と釘をさされたことすらあった。


キャンディーには高圧的な態度や、叱るという行為は無意味なものだった。ただただひたすら愛し、可愛がり慈しみ、そのことにしっかりと答える素晴らしい子だったのだ。知らなかったとはいえ、私の犬に対しての考え方をすっかり覆したのはキャンディー以外の何者でもないだろう。愛されている。その実感を持ってからのキャンディーは人もうらやむほど良い子になった。ドッグショーの世界以外で・・・


彼女の才能に気がついたのは最初はパパだった。
いつのまにかお気に入りはマリンではなくキャンディーとなり、
いつも最初に抱き、話し掛けるのもリードをかけるのも、
何もかもがキャンディーが一番だった。


マリンが華やかな世界で賞賛されることに対し、
キャンディーはショーの世界では無用の長物であることを
突きつけられて泣いた日もたくさんあった。


泣いているうちに私たち家族はあることに気がついたのだ。
犬と暮らすって？ショーにいっていい成績をとることも大事だろうけれど、
一緒に暮らすのに大事なことって他にあるよねって・・・
楽しくなくっちゃ！おたがいに言ってることが通じなくっちゃ、つまらないじゃん。
ショー会場は楽しい？私達はね（笑）でもマリンや、キャンディーは？


この子達が楽しいことは他には無いの？こんな疑問からキャンディーの才能は開花していったのだとおもう。。。