犬の年齢換算  誕生から生後1年まで

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前々から犬の年齢を人間の年齢に換算する方法がなんとなく納得できなくて書きたいなって思っていた。有名な学者の先生方が割り出してくる方法論に文句を言うつもりはないけれど、日々子犬を育てて、彼らが大人になり、若者の時代を過ぎて中年になり、老齢化し、天使になっていくまでを見ている側としてはこうではないですかね?と思っていることを書き残しておきたくなった。生まれた時から亡くなるまでをずっと見てきた頭数も50頭に近いし、現在の飼育頭数もそれなりにいるのでデータ的にはまぁまぁではないかと思うんだよね。もちろんシェルティという犬種に関してのみとお断りするとして。

犬の妊娠期間はおおよそ63日、約2か月だ。人間は十月10日。つまりおおよそ5倍だ。こんなところから犬の1年は人間の5年くらいに相当するといわれてきたのだなと思う。そのままそっくり1年で5歳と換算するのはものすごくアバウトなら合っている感はあるけれど成長する度合いっていうのがあるのでやっぱり無理がある。そこで大人になるのはいったい何歳?と考えて成長が著しい2年間で24歳と仮定されたようだ。その後は犬の体の大きさに非常に大きな差があるために小型犬は長寿に大型犬はそれより短めに1年の換算率を変えてある。

だからなんかおかしく感じるんだ。
妊娠期間はおおよそ5倍で良いけれど、まず子犬が産まれた時、人間の新生児とよく似た状態で生まれる。数は犬のほうが格段に多い。それは野生種としての時代にサル族に比べれば犬族のほうが圧倒的に子育てに不向きで幼いうちに命を落とす確率がとても大きかったせいでの進化のたまものだ。さて、数のことは横に置いておいて。。。

子犬は産まれて約2週間くらいで開眼する。ここは人間の子供と大きく違うところだ。人間は最初から開眼している。生後2週間までの成長速度は目が開いているかどうかで比べるのは無理がある。でも共通点が一つある。生後ひと月の赤ちゃんも生後2週間くらいの子犬も、安全である相手の認識を体温で知っていることだ。抱き方とかも関わるけれど、知っている体温の相手には無防備だが、余り接触のない相手には身を縮めるなどの反応をする。人間の場合泣いたりすることもある。授乳させてくれる相手の認識ははっきりしている。これは人間も犬も同じだ。

子犬たちはあっという間に成長し、3週間たつと親が吐き戻す柔らかく半分消化されたような餌を食べられるようになる。これは人間の赤ちゃんが離乳食を食べ始めることに近い。子犬は3週間たつと乳歯が生え始めてくる。人間はおおよそ半年から9ヶ月くらい。断乳とか卒乳と呼ばれる授乳をやめる時期はおおよそ1歳過ぎくらいが多い。

ってことは子犬は産まれて3週間で人間に換算すると生後半年に近いのではないかなって思うわけ。離乳食を食べ始めたばかりの数日はよろよろしているし、しっかり立って歩けるわけではない。でも4週になると兄弟姉妹でじゃれるようになり、転がりながらも走る真似事ができるようになる。歯もだいぶ生えてきて親犬は授乳を立ったままさせることが多くなる。いやだと逃げてしまう。歯が生えてくるとそりゃぁ痛いだろう。乳房にたくさん傷がつくようになるころには柔らかくふやかしたご飯をたくさん食べられるようになっている。

人間が立って歩けるようになるのは個人差もあるがおおよそ1歳くらい。もっと早い子もいるしもっと遅い子もいるが。。。走れるようになるのはもう少し時間がかかるが2.3歳になれば走るし飛んだり跳ねたりもできる。2本足歩行と4本足歩行では安定性が全く違うので犬のほうが動きに関しては早いのが当然だろう。

子犬は生後1ヶ月にもなればそれなりにぎこちなくだが走れるようになる。そして動けば動くほどぎこちなさは薄れていく。子犬のひと月は人間の赤ちゃんの1歳よりも成長は早く感じられるが、離乳食を食べる量、若干の授乳の必要性、運動能力は似たような感じで、人見知りの時期などを合わせて考えると生後ひと月の子犬はいろんなものを怖がる子は少ないので大体1歳の赤ちゃんと同じくらいの成長度合いだろうと推測している。

生後2か月になろうとする子犬たちは環境さえ整っていれば実に多くのことを学ぶ。安全である相手の認識、親や兄弟、近くに存在する別の犬たちについて、世話をしてくれる人間のこと、たまにしか姿を現さない人間のこと、いつもいる場所、初めて行く場所、初めて見るもの、初めて聞く音、楽しい遊び相手、親犬や兄弟姉妹を強く嚙むと遊んでもらえなくなることなどなど、何もかもが新しく、驚異に満ちていて恐怖と興奮と安心とが入り混じりながら学んでいる。生後ひと月までの感覚に頼った学習ではなくて体験という学習が始まってくる。

人間の赤ちゃんも親の話す言葉をまねて片言で話し始めたり親のやることを模倣するようになる。2ヶ月の子犬と2歳の幼児はとても良く似ている。思ったように体が動かせずに転んだり、高さの概念がわからず落ちてしまったり、相手を見間違ったり、自分の意思が通じずにかんしゃくを起こしたり、ほめられることがうれしかったり、おだてに乗って騙されたり、嫌なことに対して抵抗したりできるようになる。運動能力もそこそこよくなり、転ばずに走れるようになったり、ジャンプしたりできる子も出てくる。子犬の2ヶ月も全く同じだ。

2歳までのことを書き綴ったが、犬の1歳になるまでの1ヶ月を人間の1歳とカウントするとどんな感じになるだろうか。

人間の3歳は幼稚園の年少さんにあたり、集団保育が可能だ。今はもっと幼い時期から保育園等に行く子もいるがここでは母親が専業主婦で育児をしている前提で書いておく。なぜなら犬は子育てを母親が行うのが普通だから。人間が飼育する犬の条件よりも母犬や仲間の犬と共に育つ犬で調べたほうがしっくりくる。

3歳の幼児は大人と会話が可能なくらい言葉が話せることが多い。家族以外のお友達を好きになったり遊ぶことを楽しむようになる。子犬も生後3ヶ月にもなると親以外の犬たちとの接触に問題が少なくなる。意思の疎通ができ始め、犬の世界のルールを学ぶ姿勢ができる。やってはならないことや、楽しいこと、誰が自分を好ましく思っているか、誰を怒らせると怖いのかなど日々学習し、うまく立ち回れるようになる。

2ヶ月を過ぎて3ヶ月になる前くらいに新しい飼い主のもとに行くのが理想であるとされているのはこの成長度合いと新しい飼い主を受け入れやすい精神的な時期のためだ。実際この時期を超えると新しいことになじみにくくなる時期がやってくる。それは成長のあかしでもあるし、人間の子供にも起きる現象だ。もちろん環境による差は大きいが。。。

さて、体の成長に戻すと、人間の幼児は5歳くらいから歯が抜け変わり始める。子犬も早い子は4か月過ぎくらいから、多くは5か月には永久歯が生えてくる。あら、同じじゃない?1ヶ月を1歳とカウントしたら永久歯が生える時期がほぼ一致する。5か月が5歳。なんとなく納得できる成長度合いではないだろうか?
人間の子供の第一次成長期と当てはめてみると面白いように一致する点が多い。

さて、犬にも女の子の場合、最初の生理が起きる時期が来る。早い子で7.8か月。遅ければ1歳を超えることもある。人間は平均10歳から15歳といわれているが8歳くらいで始まる子もいるし遅ければ16歳~18歳くらいということもある。犬は人間に比べてはるかに早く子供を産めるようになるように感じるが、実際は人間とそうは変わらない。日本では女性の出産年齢が高くなっているために違和感を感じる人も多いだろうが、法的には女性は16歳で婚姻可能であることを考えれば出産も可能だと考えておかしくはないだろう。

シェルティの見た目からいうと成犬になったと感じるのは、体の成長が止まり、生えている毛が十分に増えて見た目に大人の犬とあまり変わらないところまで成長した場合だ。
ドッグショーの基準では、ベビー、パピーを経て、ジュニアと呼ばれるクラスは9ヶ月から15か月の犬をさし、成犬として戦えるとされてポイントも付与される。個体によってはまだ子犬の様相から抜け出せないものもいるけれど15か月になっていたら子犬のような個体はまずいない。つまり、9ヶ月から15か月の半年の間にほとんどのシェルティが大人の犬に見えるように成長するということになる。

では人間はどうだろうか?個体差はあるが、小学生の間に一気に成長し身長の伸びが止まる子もいるし、高校生あたりに急激な変化を遂げる子も多い。制服などを着ていればおおよその年齢は想像できるけれど、大人びた服装をされたら成人と間違える様相になるのは大方高校生にあたる15歳~18歳の年齢だろうと思う。それは人間の子供の第二次成長期に当てはめるとピッタリくる。人間もおおよそ15歳を過ぎたあたりで身長の伸びが止まる。女の子のほうが男の子よりも少し早く止まるようだ。
思春期も大いに関係する。男の子は女の子よりも少し遅めに第二次成長期が訪れる。

犬の1歳(生後12か月)は人間の12歳と換算しても大きな差はないように思う。

長くなってしまうので思春期、第二次成長期についてはまだ次の機会に。。。

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