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2009/04/04 Sat

甲状腺機能低下症【1】

この病気は、割とシェルティーに多い病気です。他にも色んな犬種で多発しています。
ボクサー・ゴールデン・秋田犬・ダックス・・・・などなど
この病気は、オーナーが気がつかなかったり他の病気と混同されたりして的確にこの診断をされる事は稀でした。

最近は検査ができるところも多くなり発見が早くなってきています。

年を取った犬の大多数が機能低下症を起こしていると言われています。
気になる症状があれば検査をされて調べてみると良いでしょう。

一般的な甲状腺機能の検査では、正常範囲と出てしまうことが多々あります。
甲状腺ホルモン(T4)は平常範囲に出ていても、
このホルモンを出す指令を送る甲状腺刺激ホルモンが異常に多い場合は、この病気を疑うべきでしょう。

最近はこの特殊な甲状腺刺激ホルモン(THS)を計る検査ができるようになりましたので、発見が早くなり、治療も容易になりました。

治療が遅れると不妊症は治りませんし、恐ろしいことはおとなしいなぁといった程度のまま突然循環器障害が起きてしまうことです。心筋梗塞や心不全等を起こして死亡します。シェルティーの寿命が短い理由の一つ、10歳前後での突然死にはこの病気であることを見逃してしまった部分も含まれるかもしれません。

明らかな臨床症状が起きたときはかなり進行しているという病気です。

<症状 >

★ 一般の血液検査で、コレステロール値が異常に高い
★ 甲状腺ホルモンの検査で、T3値またはT4値が標準値よりも低い
★ 不妊(雄、雌共に・・・)
      雄・・・精子の減少
      雌・・・受胎能力の減少
★ 性周期の乱れ・・・ヒートがこないなど
★ 毛が増えてこない
★ 徐脈 【脈拍数が平均よりも少ない】
★ 元気が無い ・疲れやすい
★ 寒がる(低体温になるため・寝てばかりいる・毛づやが悪い
★ 太る・ ダイエットをしても効果が見えない
  皮膚のトラブルが多い(かゆみはない)
  皮膚の色が所々黒っぽくなっている
  皮膚がかさつく
  動作が鈍くなる
  食欲が異常に高まる
  便秘になる
  下痢が止まらない
  血便になる事が頻繁にある
  膿皮症が治りにくい

など、このような症状があります。
特に、★しるしの物がいくつか当てはまるようでしたら、精密検査を受けられる事をお勧めします。

この症状は、ホルモンの数値によってその仔にあわせたホルモン剤を投与する事により、正常に戻ります。
最初から高濃度で入れず低濃度から徐々に始めある程度の期間を経て一定濃度で様子を見たほうが安全だと言われています。
元気が出てくるのは微量のホルモン剤を入れてすぐに反応してきますが、毛が生えなくなっている場合には一定量で様子を見るようにしてから反応するようです。

半年から1年に一度ホルモンの数値を計り適正なホルモン剤の分量を投与していきます。

<余談>

この病気で正しい投薬治療を行っている場合、比較的シェルティーでは長命になるようです。
検査はT4の値だけを調べる簡単なものから、【T4・THS】を調べるものはもっともポピュラーで、他には【T4/THS/T3】を調べておくのがベストかと思います。

甲状腺機能低下症の中でT4だけが減ってしまうことは稀で、さまざまなパターンがありますが、T4が減るだけではなくT4からT3に返還がうまくできないパターンがあります。

10年以上前にはT3が少ないということでT3を処方される場合もありましたが現在はT4製剤の処方のみが一般的です。T3の入った製剤(乾燥甲状腺末)はT4/T3の含有比率が一定でないため、弊害(甲状腺を委縮させることにつながる)のほうが大きいということがわかり、現在ではおおよそのパターンでT4製剤の投与のみとなることが多いです。

しかし、人間の場合、T4製剤のみの治療では効果が見られなかったり、体調がすぐれない等の場合には乾燥甲状腺末を使用することもあります。
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