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2009/04/24 Fri

犬が病気になったとき

愛犬が病気やけがになったとき、私が一番最初に考えることは獣医さんからの意見も含めた上で、愛犬の臨床状態をよく観察し、実際に告げられた病名であるかどうかに疑問を持つことです。

そしてその病気であることを受け止めるために自分自身が納得できるようにいろいろと調べてみます。曲がりなくその病気であると認識できたら、そのための最優先の治療を選び手段を考えます。
その手段は犬にとって何か一番適切なことなのかを自分の気持ちを抑えて考えることです。

犬は獣医さんで病気を治してもらえることは知りません。もし人が望むように犬も病気を獣医さんが直してくれるのだと理解できたとしたら、病院を怖がって怖気づいたりもしないでしょうし、獣医さんに警戒心など持たないはずなのです。つまり犬はたとえどんなに賢かったとしても人間のようにお医者さんが自分のこの苦しい状況を緩和してくれていると理解できません。

その中で犬にとって何が必要で何を回避してあげるべきなのかを決めるのは獣医さんではなく飼い主自身なのです。
多くの我が家の犬たちの闘病の記録を残してきているのも、こんな形があってもいいんじゃないかという思いを込めて記録してきました。大切な子が怪我をしたり、病気にむしばまれることは決して望ましいことではありませんが、病気やけがの治療や検査は犬自身のために行われるものであって飼い主が安心するためのものではないのだと思います。

治療や検査に関して獣医さんはあくまでも飼い主の意見を尊重してくれます。わからないことがあったり疑問に思うことがあったら、それをちゃんとぶつけてみれば専門家である獣医さんは正しく意見を述べてくれるでしょう。
その意見を踏まえて、やみくもに従うだけではなく、自分の飼い犬に対しての責任の上で一番良い選択肢を選ぶのが最良と考えています。

また犬が病気になったり怪我をすることは人と同様であるのだと考えることの大切だと思います。自分自身が悲劇のヒロインになってしまい、病気やけがをした犬を抱えていることが普通ではないのだと思わないことです。

障害は一つの個性だと乙竹さんという方が言っていました。私はこの言葉が、考え方が好きです。人と犬は違うかもしれないけれど、愛犬を子供のように考えている私には勇気をもらった言葉でした。

一生健全なままですごせなかったことを、悲しむことも必要だけど、心配することも大切だけど、その与えられた運命の中でどう生きさせるか…そのほうがずっとずっと大事だと思っているからです。

どうか皆さんの愛犬が病に伏したり、大きな怪我をしてしまったり、願うはずのない障害を持つことになってしまった時、どうか嘆き悲しむことだけでなくその犬のために前を向いてあげて欲しいと願っています。

犬たちは飼い主の笑顔が好きだから・・・心配な顔は彼らが必要以上に心配してしまうから・・・。

2009/04/23 Thu

犬の歯

犬の歯は生後3週間あたりに生え始め、幼犬の時代は乳歯で全部で28本あります。生後4か月くらいから永久歯に生え換わり、多くは8か月くらいにはすべて完了し42本の歯をもちます。



  • 前 歯…上6本下6本 計12本

  • 犬 歯…上2本下2本 計 4本

  • 前臼歯…上8本下8本計16本

  • 後臼歯…上4本下6本計10本


犬の歯は人間の歯とは違い肉をかみちぎるために進化したもので裂肉歯といわれるものです。前歯以外がとがった形なのはそのためです。

犬が歯石がつきやすいのは唾液のアルカリ度が人よりも高いためです。これも祖先が肉食であった名残で肉食によってタンパク質の分解の度合いが違うためで、腸の長さが人よりも短いことと類似しているものと思います。つまり食生活によって体の進化は変わるので雑食となった犬の場合には大本の祖先よりは唾液のペーハーも変わったでしょうし、腸も多少長くなっているのかもしれません。

犬の歯は生の骨ならその犬種の体の大きさに準じて食べてしまえるほどの顎の力にあった頑丈さがあります。しかしながらいくら犬といえどもその歯の質も様々に違い、エナメル質が強いとか弱いとかあります。

常時生肉や生の骨を食べていない犬が体に似合わぬ本来なら食べるはずのない(食べ残すはずの部位)大きさの硬い骨をかじれば人と同じように歯も欠けたり割れたりすることもあります。飲み込んだ後に消化に手間取り嘔吐を繰り返す場合もあります。

野生種のライオンやトラ、ヒョウ、オオカミなどの食事風景を観察すると大きな骨まで噛み砕いて食べてしまうことはありません。彼らのような大きさですら残すような部位の骨は犬の歯には良いものではないと思われます。

シェルティークラスの大きさの犬が野生で獲得できる獲物を考えると妥当なのは鶏やウサギ、ネズミやウズラなと、小型の羊くらいでしょう。つまり捕食者としてはキツネやタヌキの大きさと同じはずです。
オオカミが祖先であったとしても大型ではないので与える骨も考えなくてはなりません。

生食を与える場合に生の骨も当然理想的な食材ですが犬の体の大きさや噛み割る力などを考慮し、また消化能力も考慮して与えなくては良い食材も悪い食材になってしまうので注意が必要です。

犬は裂肉歯であることを忘れずに特に永久歯になったら固いものをかじらせる習慣をつけておくことです。食べるものに限らずペットボトルでの噛み割遊びや柔らかいプラスチックのフリスビーなどを本気で噛みついても良いと教えておけば歯磨きはそう必要にはなりません。布等でも多少は効果があります。
木をかじる犬も多いですが木は消化できないので腸に詰まる恐れがあるため感心できません。

柔らかいフードを与えている場合には食後に水を飲ませる習慣を作るか、食後にガーゼなどで歯の表面をふき取らせる習慣をつけると比較的歯垢はつきにくくなります。噛む力の弱い子もいるので小さいころから歯磨きの習慣を作ることはとても重要です。

犬の歯と人の歯は多少の違いはあれど虫歯にもなりますし歯周病にもなります。人の歯の病気とそう変わらないことが起きることを忘れてはいけません。

人に比べれば歯を失っても給仕する食事の内容で犬は健康を保つことはできるので歯を抜くようなことになっても心配はいりません。
問題は悪くなっていることをほおっておくことです。

犬の歯も人の歯と同じで病気とは違うものですから治ることはありません。どんどん進行して手の施しようがなくなるものなので日々のチェックが大切です。

2009/04/22 Wed

犬の毛色・基本編

哺乳類の皮膚や毛色の色素は、【メラニン色素】という皮膚の表皮最下層の基底層や、毛の毛母基にあるメラノサイト・メラニン細胞(色素細胞)で作られています。

メラニン色素は血液中のチロシン(アミノ酸の一種)とシステインやグルタチオンなどが加わることで形成される二種類に区別されています。

ユウメラニンとフェオメラニンです。

ユウメラニンはほとんどがチロシンを含んでいて黒色をあらわし、フェオメラニンはチロシンのほかにシステインやグルタチオンを種々の量含んで赤褐色から黄褐色をあらわします。この色素の沈着する部位に関しては遺伝子によって決まっています。

またメラノサイトはメラニン細胞刺激ホルモンの支配を受けています。

哺乳類の毛色、および肌の色を支配している遺伝子座は6座位あり、模様・斑点などをあらわす修飾遺伝子座が犬の場合には15座位あるとされています。
つまり犬の毛色遺伝子座は21座上の対立遺伝子または複対立遺伝子によって支配されているのです。

犬種によって毛色の呼び方は色々ですが、実は呼び方の違う毛色が同じ毛色を指していることがわかるのは大切なことです。

なお、哺乳類の犬だけではなく調べてみるとその共通性は大変面白いものです。馬やサル、猫、羊や牛など家畜化されたものは解明されているものも多くなりました。特に犬の純血種の研究は、人間の病気の解明に大きく役立つことが分かったのでより一層解明が進みつつあります。

犬の毛色遺伝子についても、イヌゲノムの解読によって今後また新たな情報がもたらせることと思います。ここでは現段階でわかっているものについて掲載していますのでご承知おきくださいますようお願い申し上げます。

2009/04/20 Mon

狼爪

シェルティーだけではありませんが犬には先祖からの遺伝として狼爪というものがついた状態で生まれてくることがあります。後ろ足に本来あるべき4本の指以外についている指のことです。



rousou_2.jpgrousou_3.jpgrousou_4.jpgこの指は、状態はさまざまで爪だけしかない場合や、お情けにちょこんと肉球だけがあるもの、しっかりとした一本の指になっているもの、2本一緒に生えているものとさまざまです。両足にある固体が多いですが、中には片足はごく小さいものしかなかったりすることもあります。この狼爪というものは犬種によっては使用しているということで(代表的なのはグレートピレニーズ)ついて言うことが犬種標準になっているものもあります。しかしシェルティーではついていないことになっています。

ブリードする人間がこうしたことを知っていればごく幼いうち(生後1週間くらい)に簡単に切除できるのですが、知らないでとらなければ引っ掛けて怪我をしたり、爪が伸びすぎていて食い込んだりします。当然ドッグショー等にも出しても重大な減点対象となります。大きくなってからの切除を考える場合によほどうまく手術してもらわないと神経も発達し痛みも大きいですし、何より麻酔が必須です。ましてや何かのトラブルで障害が残ってしまったら切除する意味が無いでしょう。

ですからついていた仔に関してはそのままで、気をつけてあげるほうがずっといいと思います。狼爪の切除はなれてくれば自分でもできますが、自分でできない場合には獣医さんに行けば簡単に切除してくれますから、子犬が生まれてもし狼爪があったら切除してあげることが必要な犬種もいます。。。


ちなみに前足の人でいえば親指に当たる部分を同じように狼爪と表現し切除する場合もあるようです。この指はどの犬にでも生まれもってあるもので、進化の過程で退化しつつあるものとは違います。何故切除するのかといえば前足がすっきり見えるから、また爪を切るのが楽だから。。。といった理由のようです。

私は犬たちの毎日の暮らしを見ているとこの親指にあたる部分は何かを押さえる時によく使っているので切除していません。ショーに使う犬は切除することが多いようです。うちではアメリカからやってきたミールが切除してありました。

2009/04/07 Tue

慢性腎不全・尿毒症

【慢性腎不全】

慢性腎不全とは腎臓の機能が低下し毒素(老廃物)をろ過できなくなることがゆっくりと進行するものです。
急性腎不全後に慢性に移行するものもありますが、多くは老齢による機能不全が多いようです。
先天的に腎臓自体が奇形であった場合にも慢性腎不全になっている場合があります。

【尿毒症】

尿毒症とは腎不全によって有害物質(老廃物)をろ過できないことで体中に毒素が回った状態を言います。

<症状>

腎臓は肝臓と同じく無言の臓器といわれるようにその機能は検査数値で異常を表したときにはかなり進行した状態になっています。

第1期(腎予備能減少期)
無症状。GFR(糸球体濾過値)が正常値から50%減までの減少した時期とされている。

第2期(代償性腎不全期)
GFR(糸球体濾過値)が50%〜30%に低下し、尿濃縮機能の低下が見られ、軽度の高窒素血症、貧血が起きる。

第3期(腎不全期非代償期)
GFR(糸球体濾過値)が30%〜5%に低下し、高窒素血症、腎性貧血が重度となる。また低カルシウム血症、低ナトリウム血症が認められ、夜間尿等もおきる。高リン酸血症も起きる。

第4期(尿毒症期、末期腎不全)
GFR(糸球体濾過値)が5%以下になり尿毒症の症状が出現。


臨床症状の顕著なものとして大量の薄い尿を排出するようになります。
また食事の好き嫌いが多く食べたり食べなかったりすることも多くなります。
まったく食欲がなくなることもあります。
水をよく飲むようになります。
これは尿に水分を取られて脱水を起こすためです。
吐き気が続くこともあります。
胃液のみを吐く場合もありますし、
食事をした後すぐに吐く場合もあります。
食事量が減るためもあるでしょうが体重が減ってきます。

一説にはたんぱく質を好まなくなります。
これは食べると気持ちが悪くなるので
防衛的に避けるのではないかといわれています。

ぐったりしたままやまったく食べない、
歩くときにふらつく、寝てばかりいる様になった場合には
かなり進行し、尿毒症になっていることも考えられます。

<診断>

血液検査でBUN、クレアチニン、リンの値を調べます。またナトリウムとカリウムの数値も調べます。
数値によってどの段階であるかを診断しますが人のようにGFR(糸球体濾過値)を測ることは余りありません。
必要であれば調べることはできます。

<治療>

血液検査で調べた結果の進行度合いにより、輸液、食事療法などを行います。
壊れてしまった腎臓の細胞は復活しません。
つまり残っている機能をどれだけ長持ちさせていくかです。

初期から中期にかけては・・・
胃液の分泌が多くなり吐き気や潰瘍等が起きる場合には胃液の分泌を抑える薬を服用させます
また活性炭状の薬で【クレメジン】を内服させます。この薬は尿毒症物質を吸着させて便とともに排出するためのものです。(中期まではかなり有効)
またリンを吸着させる薬を使うこともあります。
意図的にたんぱく質の制限は行わなくても良い時期です。
皮下点滴も効果があります。

末期腎不全と尿毒症の場合・・・
静脈点滴で、循環血液の量を増やすことで脱水と尿毒症が改善されます。
ある程度症状が改善できるようならば中期のときに準じて同様の対処を続けていきます。

腎性貧血になってしまった場合には【エリスロポエチン】というホルモンを補充します。
これは最初のうちは効果がありますが最終的には効かなくなります。
貧血が進みすぎた場合には輸血も行われます。

点滴の効果が現れないときはすでに終期に入っており、人間の場合には人工透析で命をつなぎます。
犬の場合にも人工透析ができるようになりましたがこの治療を望むか望まないかは飼い主の判断に託されます。

腹膜透析という方法もありますが通常は急性腎不全では効果が高いので選択する場合もありますが慢性の場合にはほとんど使われません。

腎移植という方法は高度医療のひとつです。延命にどれほどが可能であるのか良く調べメリットとリスクを検討したうえで選択するべき方法でしょう。
健全な犬の腎臓をひとつもらわなければできない方法です。

※腎臓を提供してくれた犬に飼い主がいない場合には飼い主になることも必要です。

<サプリメント>

我が家で中期までにかなり効果の高かったものは【トランスファーファクター】とH4Oという水素水でした。
気休めにしかならないかもしれませんが進行はかなり抑えられると感じました。

<予防>

食事管理と健康診断が重要です。人間の食べている塩分の高いものや加工食品などを与えないことです。
また仔犬、老犬ともに冷えることで体に負担が生じ発病することもあるようなので、寒い時期に冷やさないようにすることが大切です。
10歳を過ぎたら排泄のときによく観察し少しでもおかしく感じたら血液検査だけでもするほうがいいでしょう。

<余談>

我が家では13歳の老犬の排尿状態が半年前に先天性腎奇形症による末期腎不全で亡くなった犬の状態に酷似していたことで発見しました。
老齢による機能不全と先天的な奇形から来る腎不全では犬の状態も異なります。

先天性の奇形を持った犬の場合には長期にわたり腎不全の状態を保ってきているためBUNの数値等は高いままでも極端に状態悪化にはなりません。体が慣れているのです。

しかし、機能が衰える前には正常であった犬の場合には早く処置をし、食事の管理などを変えていかないとあっという間に悪化していきます。老齢によって体力もなく復活は芳しくありません。
室温などにも影響されやすいですし、食べたものからも多く影響されます。
治療方法はいろいろありますが苦しい状態を少しでも緩和するもので頑張ってあげてほしいと思います。
犬の腎不全は人と同じで体がだるく、胃は気持ち悪くつらい状況が続いています。
壊れた細胞は再生しないので、慢性腎不全となったら完治する事はありません。

末期に入った場合、尿毒症を緩和するために静脈点滴が最有効です。この時点では犬はあまり動けなくなっているのでおとなしく点滴を受けられるはずですが、多くの場合獣医さんに半日入院等になるやもしれません。
点滴を中止すれば一気に悪化し1週間程度しか持たないことが多いようです。

我が家は最後の日が来るまで点滴をし続けようと考えていましたが、血管が潰れて針が入る状態を超えてしまいました。場所をあちこち変えて脚からも入れました。長期間の点滴で命は長らえましたし、最後は眠るように苦しまずに逝くことができました。

その時の記録はこちらから・・・ミールと腎不全
ジェニーと腎形成不全(先天性腎奇形)

残された日々を苦しみを減らす努力をして、使える時間を大事に暮らしてあげてほしいと願っています。

2009/04/06 Mon

イベルメクチン中毒症 (多剤耐性症)

イベルメクチン中毒症とはフィラリアの薬でおなじみの薬剤類に過剰反応を起こすもので、特に疥癬の治療などのように高濃度で使用すればショック症状を起こし命の危険も起こりえる病気です。ほかにも抗がん剤等反応する薬剤があります。

通常、フィラリアの予防薬としての投与であれば問題がおきにくいとされた量にも反応することが多いようで、別の種類の薬の選択が必要です。
遺伝子検査ができるものなので、心配で有れば検査をすることもよいでしょう。

この病気を引き起こしてしまうのはMDR1遺伝子と呼ばれる遺伝子に変異が起きたからで、変異が起きていないものは問題はありません。変異が起きたものがホモ接合では大きな反応を起こし、ヘテロ接合の場合にも反応がおきやすいとされています。

コリーの血液を遠い昔に混ぜた経歴からこの問題を持って生まれてくるシェルティーも少なくありません。しかしイベルメクチンを使わずとも、モキシデックやミルベマイシンに変えれば大方問題は減ると思われるので最初からイベルメクチンを使わない様に獣医さんに話をすることもよいでしょう。

イベルメクチン以外にも反応するとされる薬剤<抗菌剤・抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイド・消化管治療薬・循環器治療薬>があるので何かしらの薬剤反応があったようなシェルティーはかかりつけの獣医さんで検査をお願いするのが一考だと思います。

参考サイト
Dr.モーゼの獣医学ノート(コリーと薬2005年春現在)
バイオス医科学研究所

2009/04/05 Sun

遺伝子検査の正しい理解

犬のDNAの解析が完了し、現在解明が急がれています。その中で少し筒ですが病気の遺伝子に関することも解明されてきています。

インターネットで検索をしたり、獣医さんで聞けば一定の病気についてDNA検査ができるようになったものを知ることができます。その中で遺伝疾患といわれる病気の構造を正しく理解し、その上で検査に望まないと大きな誤解を生むことがあります。

検査機関によってはそのことを知らせているページの掲載もありこうしたものを拝見しておくことは大切なことです。

以下参考ページです。

バイオス医科学研究所・犬の遺伝子検査に関する正しい理解について

遺伝疾患について解明が進みはじめていますが、遺伝疾患はメンデル遺伝の法則だけでは語れません。犬の病気の多くには多因子遺伝によって引き起こされる病気が多くあります。例に挙げやすく、多くの人が理解できるメンデルの法則だけに当てはめてしまうことは逆に危険なことにもつながりかねません。そして固体が持つ遺伝情報は問題となるものが一つとは限らないことが最も重要であると知るべきだと感じます。

遺伝および遺伝疾患についての正しい理解と知識が必要な時代になったようです。

2009/04/04 Sat

甲状腺機能低下症【1】

この病気は、割とシェルティーに多い病気です。他にも色んな犬種で多発しています。
ボクサー・ゴールデン・秋田犬・ダックス・・・・などなど
この病気は、オーナーが気がつかなかったり他の病気と混同されたりして的確にこの診断をされる事は稀でした。

最近は検査ができるところも多くなり発見が早くなってきています。

年を取った犬の大多数が機能低下症を起こしていると言われています。
気になる症状があれば検査をされて調べてみると良いでしょう。

一般的な甲状腺機能の検査では、正常範囲と出てしまうことが多々あります。
甲状腺ホルモン(T4)は平常範囲に出ていても、
このホルモンを出す指令を送る甲状腺刺激ホルモンが異常に多い場合は、この病気を疑うべきでしょう。

最近はこの特殊な甲状腺刺激ホルモン(THS)を計る検査ができるようになりましたので、発見が早くなり、治療も容易になりました。

治療が遅れると不妊症は治りませんし、恐ろしいことはおとなしいなぁといった程度のまま突然循環器障害が起きてしまうことです。心筋梗塞や心不全等を起こして死亡します。シェルティーの寿命が短い理由の一つ、10歳前後での突然死にはこの病気であることを見逃してしまった部分も含まれるかもしれません。

明らかな臨床症状が起きたときはかなり進行しているという病気です。

<症状 >

★ 一般の血液検査で、コレステロール値が異常に高い
★ 甲状腺ホルモンの検査で、T3値またはT4値が標準値よりも低い
★ 不妊(雄、雌共に・・・)
      雄・・・精子の減少
      雌・・・受胎能力の減少
★ 性周期の乱れ・・・ヒートがこないなど
★ 毛が増えてこない
★ 徐脈 【脈拍数が平均よりも少ない】
★ 元気が無い ・疲れやすい
★ 寒がる(低体温になるため・寝てばかりいる・毛づやが悪い
★ 太る・ ダイエットをしても効果が見えない
  皮膚のトラブルが多い(かゆみはない)
  皮膚の色が所々黒っぽくなっている
  皮膚がかさつく
  動作が鈍くなる
  食欲が異常に高まる
  便秘になる
  下痢が止まらない
  血便になる事が頻繁にある
  膿皮症が治りにくい

など、このような症状があります。
特に、★しるしの物がいくつか当てはまるようでしたら、精密検査を受けられる事をお勧めします。

この症状は、ホルモンの数値によってその仔にあわせたホルモン剤を投与する事により、正常に戻ります。
最初から高濃度で入れず低濃度から徐々に始めある程度の期間を経て一定濃度で様子を見たほうが安全だと言われています。
元気が出てくるのは微量のホルモン剤を入れてすぐに反応してきますが、毛が生えなくなっている場合には一定量で様子を見るようにしてから反応するようです。

半年から1年に一度ホルモンの数値を計り適正なホルモン剤の分量を投与していきます。

<余談>

この病気で正しい投薬治療を行っている場合、比較的シェルティーでは長命になるようです。
検査はT4の値だけを調べる簡単なものから、【T4・THS】を調べるものはもっともポピュラーで、他には【T4/THS/T3】を調べておくのがベストかと思います。

甲状腺機能低下症の中でT4だけが減ってしまうことは稀で、さまざまなパターンがありますが、T4が減るだけではなくT4からT3に返還がうまくできないパターンがあります。

10年以上前にはT3が少ないということでT3を処方される場合もありましたが現在はT4製剤の処方のみが一般的です。T3の入った製剤(乾燥甲状腺末)はT4/T3の含有比率が一定でないため、弊害(甲状腺を委縮させることにつながる)のほうが大きいということがわかり、現在ではおおよそのパターンでT4製剤の投与のみとなることが多いです。

しかし、人間の場合、T4製剤のみの治療では効果が見られなかったり、体調がすぐれない等の場合には乾燥甲状腺末を使用することもあります。

2009/03/07 Sat

ジステンパー

犬ジステンパーは食肉目の動物に感染し、特に犬には強く反応が出るとされていますが、人に感染することはありません。
イヌジステンパーウイルス(CDV)が感染犬からの接触・飛沫感染が主となります。鼻水をたらし眼やにが多く出てくるのが特徴ともいえます。最初は風邪のような症状ですが致死率の高い怖い伝性病の一つです。パルボの出現の前までは犬にとって一番恐れられてきた伝染病で、日本オオカミの絶滅の原因の一つとも言われています。

症状

ウイルスに感染後3〜7日で眼やにや鼻水・急な発熱・下痢などの症状が現れてきます。これはウイルスが体内のリンパ組織に侵入し、体を守る役目があるリンパ球を攻撃し壊してしまうため、細菌感染を起こしやすくなるためです。

一時的に発熱は収まりますが数日間を開けて第二期の発熱が再開し1週間程度継続します。これが特徴の一つです。
この間ウイルスは増殖を続け、神経系に達すれば痙攣や麻痺なども起きるでしょう。抗生剤の投与によって一定時期改善の兆しが見えますが、なかには脳炎を発症した場合、痙攣や麻痺意外に錯乱状態が起きたり失明することもあります。

また、断続的な痛みの伴う筋肉痙攣が徐々におきる犬もいます。ハードッパットと呼ばれる、鼻や足の裏の皮膚をウイルスに攻撃されることによって硬化し亀裂を起こすことも特徴とされています。

原因

犬ジステンパーウイルス(CDV)の感染によって発症します。このウイルスは人間の麻疹と同じ属にあるウイルスです。


診断

通常は症状によって診断されます。場合によっては脊髄液の検査等が行われる場合もあります。

治療

特効薬はありません。抑えるべき症状によって処方される薬は変わり、抗生剤の投与も必要になるでしょうし、痙攣発作等の場合には抗痙攣剤や鎮静剤・鎮痛剤などが投与されます。脱水が起きていれば輸液も必要になります。人間の麻疹同様に薬でウイルス自体を死滅させることは不可能なので対処療法のみとなっています。

予防

ジステンパーの免疫抗体は母親から受け継ぐことで大きな効果をもたらします。つまり繁殖する際の母親自体に高い抗体力価が存在することが必要です。ばらまかれたウイルスは家庭用洗剤・消毒剤によって不活化することができるので、繁殖の現場ではウイルスの侵入を防ぐとともに日々不活化への努力が必要です。

通常はパルボ同様、母犬の体の中にいる間に抗体を受け継ぎ、初乳による抗体を貰って育った子犬なら、生後70日くらいまで、免疫が切れる事は少ない物です。母犬が予防注射を摂取していなかったり、生後すぐに母親から引き離されて母乳が飲めなかった場合は注意が必要で予防注射の接種を早める場合が必要になることがあります。

通常8〜12週令までに第一回目のワクチンの投与をし、獣医の指示でブースター効果が高まる期間を経て第2回目の接種が望ましいでしょう。

こうした感染症で生き残れる個体は全身状態の良しあしで生命の存続が決まるような部分も否めません。仔犬には適切な食事を与え十分な運動ができ、体力がしっかり付いていることが望ましいのです。子犬の体重が減ってしまうような環境であるならそれは危険を招いているようなものです。


※ ジステンパーは日本ではまだ壊滅できていない感染症の一つで、この感染を切り抜けても感染した以上生還を果たしても大きなリスクが伴うことがあります。チックのような症状を起こし続けたり、子犬の場合なら永久歯に生え換わる際に斑状歯(Mottled tooth)になります。これは人で言う歯のフッ素症と呼ばれるものとよく似たもので、歯にまだらが出てしまうことです。
筋肉のけいれんは徐々に軽くはなりますが完全に消滅することが少ないようです。他にも痙攣性筋萎縮症が残る個体もいます。脳炎の後遺症が年をとってから発症する場合もあります。

仔犬だけが感染するわけではなく老犬の感染の報告もよくあります。予防注射でつけられた抗体は数年たてば消えてしまうものです。ある程度の間隔で正しくワクチンを接種しておくことが最大の予防法です。

2009/03/06 Fri

レプトスピラ

レプトスピラという細菌の感染により、出血性の黄疸や、尿毒症を起こす感染症です。多くの哺乳類が感染し、勿論人間も感染する、人畜共通感染症です。

レプトスピラ菌はスピロヘータと呼ばれる種類の菌です。
感染しても明らかな症状を表さないまま自然治癒してしまう不顕性型と、出血型と黄疸型に区別されます。大部分は不顕型ですがイヌレプトスピラ菌が感染すると、出血型黄疸出血レプトスピラ菌が感染すると黄疸型になります。

人畜共通感染症なので、発病犬、保菌犬の取扱いには十分注意が必要ですし、この病気と確認されると、届出が義務付けられています


症状


イヌレプトスピラ菌に感染すると、腎炎を起こし、出血性の胃腸炎、潰瘍性の口内炎が起こります。
40度くらいの高熱が出て元気がなくなり、食欲もなくなります。
口の粘膜や、目が充血します。消化器の炎症により、嘔吐や血便が出ます。
腎臓や泌尿器が冒されると、おしっこが出なくなったり強い臭いの尿が出ます。
末期になると口内炎はひどくなり尿毒症を起こし脱水で死亡するか回復しても
慢性腎炎に移行することが多い物です。
肝臓が冒されると黄疸も起こります。

黄疸出血レプトスピラ菌に感染した場合は前者よりも症状が激しく起こります。
突然の高熱に始まり全く食欲もなくなり、全身が衰弱して体が震え嘔吐も起こります。
すぐに尿毒症の状態に陥り発病後2.3日で死亡する物もあります。
1週間以上生存できれば回復する場合もありますが、
この菌に感染すると約70%が黄疸を起こします。


原因


主要な細菌はイヌレプトスピラ菌と、黄疸出血レプトスピラ菌の2種類が主な物です。
この菌は保菌動物の尿中に排泄される物で、イヌ、人間、ネズミ、牛、豚などに感染します。
特にネズミは感染しても発病する事はまれなため、最大の感染媒体であり、感染源です。

イヌに感染する場合は、レプトスピラ菌を含んだ感染動物の尿を舐めたり、
汚染されている土やたまり水に触れる事でも感染してしまいます。
口の粘膜や皮膚の傷から感染します。
イヌ同士の場合は相手の匂いをかいだり舐めたりする事でも感染しますので特に雄がメスよりも感染率が高くなります。

診断


症状が特殊な為、獣医での診察で正確に診断のつく感染症です。
尿の中にある菌を確認し、血液の培養などで菌は確認されます。

治療


この菌を撲滅する為には、抗生物質ペニシリン、スレプトマイシンが有効です。
脱水症状の改善なども平行して行なわれます。
他の症状にはそれぞれ対処していきます。
症状の現れない感染犬にも菌が尿の中から出なくなるまで抗生物質を投与して行きます。

予防


ワクチンがあるので定期的に接種しておけば予防できますが持続性はあまりありません。【1年間抗体力価が持続しない】
調べたところレプトスピラワクチンを単体で接種する事も出来るそうなので、レプトスピラに感染する危険がある場所に犬を連れていく少し前の接種が望ましいでしょう。

※ またこのワクチンは混合ワクチンに含まれる他のものとは製法が違い、犬によってはひどいアレルギー反応を起こすことがあります。ワクチン効果も他の種類とは違い長く保たないといわれています。接種したあと、関節など、体の痛みを訴える場合もあります。
飼い主の判断で接種を決められるので、あえてレプトスピラが発症しているとの危険な情報がない限り、(人畜共通感染症なので発症したら獣医棟には連絡が入るうえに国はその情報を公開するため)我が家はこのワクチンを接種しません。

頻繁に感染する犬がいたら人への感染も起きてしまうはずです。どうしても感染の可能性の高い場所等へ連れて行く際には抗体の上がる日数を考えた上で接種することが望ましいでしょう。


日ごろの注意事項

特に散歩の際に、路上の水溜りや他の犬の尿を舐めたり踏んだりしないように気をつけましょう。

最近ねずみが大繁殖するようになりました。
一部地域では室内にまで出てくることがあるようです。

もし万が一ねずみが室内を歩いた形跡があったら、早々に退治し、きちんと消毒しましょう。

レプトスピラは人にも感染します。感染した場合には国への報告義務のある病気です。犬を飼う家庭で室内にネズミが出てこないように対策を立てることが先決ですが(笑)


レプトスピラについて詳しくはこちらのサイトも参考になります。
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