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2009/06/17 Wed

シェルティーとフリスビーその2

フリスビーを投げるとキャッチするようになるまでに犬によってタイプが大きく違うので教え方が一つでできるわけではありません。そして何よりも飼い主のそばまで持って帰ってきてくれなければ回収に手間取り、飼い主の負担が大きくなり演技にも支障が起きます。

犬たちに学んでもらう時にこの二つのやってもらいたい行動をセットして教えてしまうと実に簡単です。

たいていの犬に共通なことは【動くものに興味を持つ】という部分と、【獲物をとらえたい】という部分の本能的なものがあります。この部分を伸ばしてあげれば、投げたら捕まえるという基本的なスタイルは可能です。

もしも、この部分に欠落があるか、問題を起こし興味を失わせてしまった経験があるとしたら、最初から固いプラスチックでできているフリスビーを使うことは逆効果でしょう。犬が噛みやすく引っ張ったりできそうな柔らかいものから始めるのが得策で、タオルとか柔らかいぬいぐるみ、ボール型のおもちゃ(テニスのボールのように固いものはNG)のように犬の口に入る大きさの噛んでも歯に衝撃が加わらないものを使いましょう。


噛みが強い犬であったり、人間の手も、おもちゃも、見境がなくなるほど興奮する犬であれば、人が手にけがをしないように、使うものにひもなどをとりつけておくとベストです。犬に覚えてもらわなければならないことはおもちゃで遊ぶことであって、それを動かしてくれるのが人間の手なのだという部分です。人間の手がおもちゃになってしまうことは避けなければならないことです。

最初のひもはあまり長くなく、犬に手を噛まれないためにとる距離分の長さで十分です。50センチもあればいいでしょう。
この長さを使って物を動かして犬に興味を持たせます。

猫をじゃらすほど素早い動きではなくゆっくりとした動きから興味をひきだしていくとうまくいきます。
もしもあなたのそばにフリスビーをキャッチできる犬がいるのなら一緒に遊ばせることも有効です。犬は群れで行動するので一緒にいる犬が興味を持つ物に興味を持っていきます。マネといえば真似でもあり、危険でない遊びであるという認識がつく部分もあります。


犬が手で物を抑えて捕まえようとする仕草が表れてきたら楽しんでいる最初の一歩を踏み出しました。次は簡単に捕まえられないように捕まえるちょっと前に素早く動かして犬を多少じらします。犬の感情が盛り上がってきたら捕まえさせて自信をつけさせましょう。犬は前足でおもちゃを抑えても最後は必ず口を使います。褒めるタイミングは手で押さえた時ではなく、口でおもちゃをつかみ取ったときです。

床に置いたものをいとも簡単に捕まえて咥えられるようになったら、ひもを長くします。1メーターもあれば十分です。ころがしては捕まえさせ、できるだけ犬が咥えているように促します。強く引っ張らずに犬が咥えている状態で自分のもとに呼び込んで咥えているものを返してもらいましょう。

最初は「はいどうぞ」と返すはずがないのが犬ですが、物にはひもが付いているので手繰り寄せることが可能です。犬が物を捕まえたら押し問答にならないように自分の手元まで力を入れないように引き戻し、素早くおもちゃをとり、またすぐに犬に追わせましょう。

この手順は飼い主のセンスなので繰り返し何回も行ううちにタイミングがつかめるようになります。繰返しをしなければ犬から物をとるタイミングも難しいままだし、犬が自発的に返してくれるようには余ほどでなければできないので、最初はうまくいかなくてもがんばって遊んであげましょう。
もし取ろうとすると噛まれそうで怖かったらひもを強く引いてしまえば犬の口から物をとることができます。ただし、最初から強く引いてしまうことを繰り返していると犬が構えてしまうので取る瞬間だけ強く引くことです。

犬が咥えているものを飼い主に渡す、もしくは地面に落とすことを要求する場合、【ドロップ】というコマンドを使います。このコマンドは物を放せという意味なのだと犬に理解させなければならないので、必ずおもちゃを受け取ろうとする前にコマンドを言いましょう。

噛まれそうで怖い場合にひもを引いて落とさせるのなら、必ずひもを引く前にこのコマンドを使わなくてはなりません。練習が進めばおもちゃにはひもがつかなくなる日が来るのですから、ひもを引いて放させられても意味がないのです。あくまでもコマンドで放させるための前段階の練習なのでコマンドは必ず使っていきましょう。

また、どうしても押し問答になってしまうようなタイプの犬の場合にはおもちゃをもう一つ用意しておきます。咥えたものを放そうとしない場合には咥えているほうが動かないように固定し、もう一つのほうで犬を誘います。

犬は獲物が一つだけだと思うとかなり頑固に戦利品を放そうとはしません。(当然の本能です)でも飼い主とやっているものは生死がかかる獲物の争奪戦ではないですし、獲物をとらえたとしてもリーダーに従わないのは犬としてのルールに違反していることになってしまいます。そしておもちゃを使ったゲームはあくまでも遊びの一つなのですから、犬にとっての獲物が一つである必要はありません。この違いを犬に理解させることが必要なのです。

飼い主が望む行動(飼い主の手元におもちゃを持ってくる)さえできればOKなので、犬の気持ちを次のすぐ動くものがあるのだという部分に移行させましょう。この方法を使えば飼い主がやたらに犬にフェイントを出して犬の気持ちを萎えさせることを防げます。

犬は人が感じるよりもずっと短い時間で多くの事柄を判断する生き物なので、飼い主のフェイントが多すぎると興味を失ってしまうことがあります。フリスビーを振り回して、なかなか投げない飼い主さんの犬がフリスビーに興味を持ちにくいのはそのためです。

おもちゃを使って投げたら持ってくるようになったら、少しづつ固さを強くして最終的にプラスチックのフリスビーでも気にしないで噛むようにしていきましょう。

硬さに馴らすためには、上記同様に徐々に理解させていくほうが最終的には時間も早く理解度も確実になります。

柔らかく小さいおもちゃを大きなおもちゃに変えたり、ペットボトルのようにプラスチック製の軽くて軟らかいものを使ったりして工夫します。
スポンジでできた円盤型のおもちゃに変えたりもよいことです。

飼い主が差し出すおもちゃが何であれ【テイク】が完璧になっているなら、最初からフリスビーに穴をあけてひもを通し【もってこい】を教えればよいのです。

もちろん最初からおもちゃやフリスビーを投げたら飼い主に持っていけばまたすぐに遊んでくれるのだという学習が付いている場合と、必ず飼い主のコマンドに従って【ドロップ】ができるような犬にはこの手順は必要ありません。

ただし確実性を期待して確認作業として一度やってみると犬の理解度が図れるはずです。