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2009/03/06 Fri

Category: Quality of Life

命の誕生に向けて

犬は本来自然の中で生きていた動物だから、先天的な障害児の場合にはたぶん自然淘汰されてきたことでしょう。
人が手をかけなければ、それが運命というものでしょうし、そのために強く次の世代に続く遺伝子だけが生き残ってきたのでしょうから・・・
野生動物は、ほとんどがみな同じような姿態で、その子孫を続けていく為に残酷にも見えるほどの自然淘汰がなされていきます。

ライオンは、一つのプライドと呼ばれる群れで形成されているが多くはボスとなるオスを中心に数頭の雌とそのボスの子供たちとで形成されていますが、このボスが挑戦者が現れ群れを乗っ取られた時に、生存している前のボスの子ライオンたちは残らず噛み殺されてしまいます。


なぜなら、群れを取られた弱いオスの子孫は新しいボスにとっては無用のものだからで、のっとった群れのメスの繁殖期を早く迎えなければならないからです。
新しいボスは自分の子孫を残さねばならず、そのためには雌が子育てをしていては自分の子孫を作れない為に子ライオンは殺され、雌には発情期がすぐにやってくるのです。


高等知能を持つチンパンジーですら、子殺しという穏やかではないことが行われることも知られるようになりました。
健全な個体だってこうした淘汰が行われて自然の世界では強いものの子孫が生き残ってきたのです。
健全でない個体は、母親に育ててもらえることもなかったろうし、また運良く子供時代を生き延びてきても、健全な兄弟たちのように子孫を続けていけるほど生き延びていくことは不可能でしょう。


リカオンなどは群れで生活し、非常に愛情深く群れと接する為に病気にかかった仲間をも介護することが知られています。
このために、犬特有のジステンパーなどに感染した仲間がいる群れはほぼ全滅してしまうのです。
そのなかで体力を充分に持ち、たぐい稀なる生命力の強い生き残った個体の子孫がまた繁栄を続けていくという誠に理に敵った自然の法則があります。


純血種の犬たちは、人が目的別に改良(改悪)してきた特殊な種類のもので、野生の動物とはまた違った考えで見なければならなりません。
彼らに野生動物の生態やルールを持ち込むこと自体が無理があるのです。


犬という大きな種族の中にそれぞれの犬種が存在し、同じ種族の犬と言う生き物なのかと思うほど、セントバーナードからチワワまで大きさから性質から、姿態まで違うものたちばかりです。
このように人が人為的に作ってきた犬たちには多くの悪い遺伝子を受け継いでいるものがたくさんあります。
近親交配によって形作られてきた歴史は自然の法則にかなってはいません。
でも、形を均一化していくために時間を短縮するとしたら当然のことといえるでしょう。
人の手が無いと自力で出産できない犬種や、明らかな遺伝疾患を抱えると知られている犬種でも、多くのファンシャーの努力で今日もその犬種は存続されています。


生き物本来にある子供を数多く生むことは妊娠初期に発生する奇形や疾患を抱えるもの(先天性疾患)が生まれてくる自然発生の確率を生き残る為に考慮し含めているのですが、こと遺伝に関する諸問題については多くのブリーダーが語り合うことが少ないのです。そして科学的にも解明されている情報が少ないのが現実です。


これには一つに先天的な異常が遺伝子によるものなのか、自然発生に値するものなのかの判断が非常に難しいからだと考えられます。
現在でも多くの遺伝疾患と目されるものですら、その個体がキャリアしているかどうかの判断を下せる機関は少ないのが現状です。
いくつかの遺伝疾患については海外の機関で調べる事ができるものも出てきましたが、調べられるものにはまだ犬種や疾患によって限界がある状況です。

問題のある遺伝子を持つ犬たちの排除だけでこの先の純血種に明るい未来があるとは思えません。

遺伝疾患といわれるもの自体すら継続してくる遺伝子の存在によるものなのか、偶発的に起きる遺伝子の変化によるものなのかの謎が解き明かされる時代に来なければ、真の問題ある遺伝子疾患を持つ犬の作出を阻止することは不可能でしょう。


最近では、タブーとされていた情報が公開されるようになってきてもいますが、犬種によってはまったく公開されない物も多くあります。
それは公開したとしても、したものが悪者にされてしまう現在の状況にも問題があるからだと思います。
情報が未確定のまま、デメリットだけを伝えることは非常に危険ですが、黙っているものの方が正しい繁殖者だと認識され、公開したものがばかを見るような時代の中では、公開するほうにもそれ相応の覚悟が必要で、正しい理解を促せるかという点で、飼い主側が求めている健全なものを見つけるのは非常に大変なことでしょう。


人為的に作られた犬という一つの大きな枠の中に存在する犬種群に、定められた犬種標準に乗っ取って、必要のない、もしくは、外れたものには厳しい形ではあるが淘汰という方法が脈々と続けられてきています。
ただしこの淘汰という方法が、生物学上、存在するに値しない命であったかどうかは疑問の残るところなのです。
一つの定められた形に固定するには多くの努力と忍耐と、その後ろに隠された多くの失われなくても良かった命が失われてきていることは現実です。


命という視点から考えるのか、犬種の確立、存続を考えるのかによって繁殖意図は大きく変わってくるのだと思います。


スタンダード(犬種標準)に書かれている失格事項の多くには、何故それが問題なのかを書かれているものは少ないのが現状です。その謎をゆっくりとひも解いていかなければならないはずです。
それはその犬種に関わるブリーダーたちが経験を通して学んでいくべきことなのでしょう。
できうるなら、多くの情報を学べる機会が増えることを願っています。


繁殖は考えようによって命というとてつもなく重い、また逆に簡単に軽んじられるものを生み出す行為です。
人類は最高の知能を持つ、まさに神の様な高等動物であるだろうが、だからこそ、命あるものを大切にしていく心だけは忘れて欲しくないものです。


命の誕生は本当に素晴らしいものです。


この世に生を受けたもの達に関わったものにはたとえそれが犬であろうとも、大きな責任が覆い被さってくると考えています。
わが子に関わる親のように・・・
そう考えられたとき、初めて命の重さを感じられる気がするのです・・・。

2009/03/06 Fri

Category: Quality of Life

犬と暮らすなら

犬と暮らすならどうしても心にとめておいて欲しい事があります。
それは、飼っている貴方が、犬の命を握っているのだという事です。


1999.10.03write


貴方が幸せに穏やかに生活させてあげる事もできれば、反対に辛く恐怖におののきながら生きなければならなかったり、人間の都合で生命を脅かされる事にもなるのだということです。。。

犬は人間の言葉は理解できますが、喋る事は不可能です。

彼らの出す信号を上手くキャッチしてあげなければ、しつけも上手くいかなかったり、病気などになって、助かる物も助けられなくなったり、長く療養しなければならなくなります。

その負担はかなり大変な物になるでしょう。
犬好きの人には信じられないような事が現実には起きています。
今年もたくさんの犬たちが処分されました。


犬が幸せになるのには運命だとしかいえない部分もあります。
いろんな形で生まれてくる子犬たち。
巡り会えた飼い主が良い人ならその子は幸せな一生を送れるでしょう。
でも、みんながそうとは限らないのです。


犬は動くぬいぐるみではありません。


ただ可愛いだけでは・・・いらなくなったら捨てるわけには行かないのです。流行が変わったから取り替えるわけには行かないのです。
10年から15年はゆうに一緒に生きていくのです。
しつけが失敗して手に負えなくなったら保健所に出すしかない?
引越しで犬が飼えない所に引っ越すから貰い手が見つからなくて保健所に?
知らないうちに子犬ができてしまってたくさん生まれて飼いきれないから保健所に?


ここには書けないたくさんの理由で、処分される犬たち…処分されるというのは殺されてしまうという事なのです。
極端な意見かもしれませんが、これが犬でなくて貴方の子供ならどうするでしょうか?
そう考えられるように育てることも不可能ではないでしょう。


犬を飼うときにしっかり考えておけばこういう不幸は避けられます。
中には天災や、思いもよらない不幸のために、起きる不測の事態もあるでしょう。
そのときには力になってくれる人たちが必ずいるはずです。
良い犬に育ててあれば里親を探す事も不可能ではなくなるのです。
貴方の手に負えない犬は他人にはもっと手に負えないことのほうが多いのです。

だから一生懸命育てて欲しいのです。犬は貴方の鏡となります。


可愛いしぐさを見せてくれるその子は年をとって、歩けなくなり、垂れ流しになり、いつかあなたの事すら判らなくなってしまう事もあるかもしれません。。

中には眠るように亡くなる事もあります。
痛みで苦しんで亡くなる事もあります。
でも貴方と暮らした幸せな年月があれば、彼らは穏やかに天国に上っていくでしょう。
そして貴方もきっと、その子と巡り会い一緒に暮らした日々の充実感によって彼らが亡くなっても後悔はしないと思うのです。


その子が貴方のもとにきた事をきっと感謝できるでしょう。


その日が来るまで、精一杯お互いが幸せに暮らせる事を考えていて欲しいのです。
犬と人間が共存する為には、お互いに守らなければならないルールが存在してきます。
犬は人間の決めたルールに従える動物なのです。
牛や馬、豚や鶏たちのような家畜のように、人間の都合だけで飼う動物ではなく、仲間として家族として一緒に成長できる動物なのです。
犬のいる生活は小さな子供が存在する家庭と同じです。
溺愛するだけでは良い子にはなりません。
厳しすぎるのも真っ直ぐには育ちません。
厳しい中にもたっぷりの愛情があればおのずと素晴らしい犬に成長し、貴方の生活を豊にしてくれるでしょう。


彼らは一人ぼっちは嫌いなのです。
人間と同じなのです。
彼らの出す信号を受け止めてあげてください。
彼らを叩く前に、何が悪かったかを考えてあげてください。
彼らは黙って叩かれていますが、その気になれば私たち人間に大怪我をさせる事もできる凶器をいつも持っているのです。
彼らはそれを凶器としては決して使わないでしょう。
お互いに愛情と信頼で結ばれた関係になることで…それが可能なのが犬との関係なのですから…


貴方がその手に抱いて自分の犬と決めたときからあなたは貴方の犬の命を握っているのだという事を忘れないで欲しいのです。
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